本研究課題は,社交不安症におけるビデオフィードバックの効果検証において,ビデオフィードバックの効果を阻害する要因の特定とその介入効果を検証するものであった。
当該年度においては,社交不安症患者のビデオ映像に関するネガティブ・ポジティブなイメージが,認知・行動的要因とどのような関係にあるかについて検討を進め,さらに認知行動療法プログラムにおいて,それらへの介入がどのような効果があるのかについて検討を進めた。Web調査により,309名の社交不安症患者に対して質問紙調査を行ったところ,ネガティブなビデオ映像に対するイメージは社交不安症状と中程度の正の相関関係を示し,ポジティブなイメージについては,弱い負の相関関係を示した。これらのことから,社交不安症患者においては,ネガティブなイメージのほうがポジティブなイメージよりも社交不安症状との関係があり,ネガティブイメージを変容することによる介入効果の高い可能性が示唆された。また,ポジティブイメージについては関係はあるものの弱い程度のものであることから,介入による変容の可能性はあるものの,期待される効果が低いことが示唆された。また,社交不安症患者に対する,集中的なビデオフィードバックを取り入れた8回の認知行動療法プログラムと比較対照群との効果を比較したところ,社交不安症状の有意な改善が認められた。社交不安症状の低減については,効果のあることが認められ,ビデオフィードバックを行うことの有効性についても示唆された。
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