研究課題/領域番号 |
17K04465
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
高橋 南海子 明星大学, 明星教育センター, 准教授 (70620558)
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研究分担者 |
岡田 昌毅 筑波大学, 人間系, 教授 (10447245)
菊入 みゆき 明星大学, 経済学部, 教授 (10760598)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学校から社会への移行 / 就職活動 / 内定者支援 / 組織適応 / プログラム開発 / 効果測定 |
研究実績の概要 |
若年者の組織適応の状況が問題視され、入社後の適応を視野に入れた大学生への教育・支援が求められている。そこで本研究は、就職活動経験を契機とした成長が、内定時期の行動を介して、入社後の組織適応を促進するという知見(高橋・岡田,2013,2014)を基盤とし、「就職活動経験を入社後のキャリア形成に活かす為の内定者フォロープログラム」を開発・実施し、効果測定を行うことを目的とする。初年度である平成29年度は、プログラム開発のための予備調査を行った。具体的には、企業関係者には、現行の内定者アプローチの種類と頻度、企業側の課題意識について面接調査を行った。大学生には、就職活動終了後から入社前までの心理と行動について質問紙調査を行った。質問項目は面接結果に基づいて作成され、大学生が受けたアプローチの全体傾向を明らかにできた。企業のアプローチは、多種多様であるが、単発実施、任意参加、一方的通知が多く、関係維持のための緩やかな働きかけであった。効果としては、企業や仕事の理解、入社後に関わる人とのつながり、社会人になる心構えなどが、やや高まったという回答が多く見られた。一方、就職活動終了時に大学生が特に強く感じるのは安堵であり、嬉しさや充実感とともに、疲れや不安も比較的強く感じられていた。内定期間の過し方に明確な意思を持つ者は少数派で、多くは、漠然と、学生時代にしかできないこと、休息、家族や友人との交流をしたいと考え、実際に、卒業研究・論文、アルバイトの他は、友人や家族との交流、休息、趣味やレジャーに時間を使っていた。自己内省や将来を考えること、入社後を意識した取組みの頻度は低く、就職活動で対峙した課題からは離れていた。入社直前は、期待や充実感を感じる一方で、緊張、不安、倦怠が高かった。本調査により内定期間中の課題が明らかになり、内定者フォロープログラムの必要性と、その方向性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画(研究1:内定者フォロープログラム開発・実施のための予備調査)を予定どおり遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画どおり推進する。平成30年度は、「就職活動経験と入社後の初期キャリアをつなぐ内定者フォロープログラム」を開発・実施(研究2)し、効果測定(研究3)を行う。 内定者フォロープログラム(研究2)の枠組みは、髙橋・岡田(2013,2014)の知見と予備調査の内容を勘案して作成する。現時点では、以下の計画である。①ワークショップ形式の研修プログラムと内定期間中の活動、および内定期間中の活動をサポートする人的ネットワークで構成される。②研修参加者は研究者の個人ネットワークを利用して、首都圏の複数の大学から20名を公募する。③効果測定のために、内定者フォロープログラムには参加せず、効果測定用のアンケートにのみ協力して頂く対照群20名を設定する(参加者と同様、複数大学から公募する)。 研究3は、研究2で開発した内定者フォロープログラムを実施し、効果測定を行う。効果測定は、①研修直後に意識や気分の変調を質問紙調査にて問う、②研修参加者(実験群20名)、調査協力者(対照群20名)に対して、入社3か月目に追跡の質問紙調査を行う。 新たな研究として、研究1で実施した、大学生アンケートの対象者に入社6か月時点での追跡調査を行う。内定時期の行動や内定者フォロー経験と、入社6か月時点での組織適応との関連を検討し、研修内容に反映する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、調査費用として見積もっていた金額よりも、実際の費用が低額であったために生じた。次年度使用額は、新たに実施することになった調査(研究1の追跡調査)を実施するために使用する。
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