本研究課題の目的は、援助要請をスタイルの視点から検討し、適切な援助要請を促進するための支援方法を検討することであった。従来の援助要請を扱った研究では、援助要請の量のみに注目することが多く、援助要請が多い方が望ましいという前提があった。しかしながら近年では、援助要請は必ずしも多ければよい訳ではない可能性が指摘されている。具体的には、援助要請の量ではなく援助要請の質に注目した検討の必要性が指摘されている。当該領域ではこれまで、「援助要請スタイル」という視点が提案され、信頼性・妥当性を有する尺度が報告されているが、しかしながら、援助要請の質に注目した研究はほとんど存在しない。こうした問題を踏まえ、本研究課題では、これまでまず基礎的な研究として、援助要請意図や援助要請スタイルの関連要因について明らかにしてきた。 最終年度である本年は、これらの結果を踏まえ、援助要請の質を測定するための尺度を作成した。尺度作成の際は、大学生と成人それぞれに調査を行い、因子構造や信頼性・妥当性の検討を行った。最後に援助要請の質が援助成果と関連するかを検討した所、援助要請を行う際は、単にこちらのニーズを明確に伝えるのではなく、その際の相手への配慮などを行うことが、よりポジティブな成果の獲得につながることが示された。以上から、援助要請は単に行いさえすればよい訳ではなく、実際の相互作用の質にも着目することの重要性が示された。
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