研究課題/領域番号 |
17K04469
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
山上 史野 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (70367449)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教育系心理学 / 大学生 / インターネット使用の問題 / 先延ばし傾向 |
研究実績の概要 |
本研究は大学生の「インターネット使用をなかなか止められずにやるべきことが遂行できない(Cyberslacking)」行動に焦点を当て、予防的介入を目的とした心理教育的プログラムの開発を最終目的としている。2018年度は大学生のインターネット使用状況と、過度な使用に関わる諸要因について調査研究を行った。 大学1年~3年生を対象とした調査では、インターネットの使用について使用機器は1年生の一部を除き全員がスマートフォンを使用していること、使用頻度は「常に使用している」~「多くの時間使用している」が各学年で8割以上,「自分はインターネット依存だと思う」という設問に対してはすべての学年の6割が「そう思う」に回答した。使用目的については「動画の閲覧」が最も多く、「投稿」といった積極的な使用よりも「閲覧」目的が圧倒的に多かった。 「インターネットを使用して困ったこと」については「ネットいじめ」や「課金」といったトラブルは少数である一方で「やるべきことが後回し」,「睡眠や食事回数が削られる」等生活への影響に関する内容が多くを占めた。 また、インターネットの過度な使用と「先延ばし」傾向との関係を調べるために,Internet Addiction Test日本語版とGeneral Procrastination Scale日本語版を同学生集団に実施したところ、すべての学年において両変数間に高い正の相関が得られた。また学年によっては、インターネットを過度に使用している学生ほど、大学生活や学業成績への満足度が低いこと、孤独感や生活リズムをコントロールできないと感じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
テクノロジーの発展やそれに伴うインターネット依存の定義の難しさにより、当初開発を予定していた質問紙内容を再検討する必要があり、現時点での大学生のインターネット使用状況および関係する諸要因の検討を十分に行うことに時間を割いたため、やや遅れた状況である。
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今後の研究の推進方策 |
インターネット依存と先延ばし傾向については、継時的変化や学年間の差異を検討するため、引き続き調査を行う。さらにストレスへの接近や回避といったストレス対処方略と、インターネット依存および先延ばし傾向との関係を検討する。また面接調査により、インターネットの使用の仕方と大学生活適応との関係やプロセスについて質的に調べる。以上の結果をもとに、インターネットの適切な使用についての心理教育プログラムの内容を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた面接調査が昨年度実施できず、データ入力目的も含め、謝金や人件費の使用がずれこんだことから次年度使用額が生じた。
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