研究実績の概要 |
本研究の目的は,認知症高齢者を介護する家族の負担感の軽減とQOLの拡大に対する「日本版ACT(Acceptance and Commitment Therapy)プログラム」の効果を検討することである。その効果検証は,「実証に基づくトリートメント」の開発の方法論に則り,事例研究,一事例の実験デザインによる研究,オープン試験(群間比較)というプロセスで行う。また,本検証は,ACT開発の第一人者のHayes教授(University of Nevada, Reno),および当該問題に対するACTプログラムの開発者であるMcCurry教授(University of Washington)と連携しながら実施する。 本年度は,ACTプログラムのプロトタイプの作成,および,当該プログラムの実施を開始することを目標とした。 プロトタイプは,McCurry(2006)の家族介護者向けの支援プログラムである「DANCE」と呼ばれるトリートメント・モデルに,ACTの内容を組み入れて開発された。プログラムは,6-12回の個別の短期療法と3回(1ヵ月単位)のフォローアップで構成された。測度については,アウトカム測度として,1)Zarit 介護負担尺度日本語版の短縮版 (J-ZBI_8;荒井ら, 2003),2)GHQ 30精神健康調査票(中川・大坊, 1985),3)WHO-QOL26(田崎・中根, 1997)とした。研究参加者は,地域のフリーペーパーにて募集し,選定基準や同意が得られた介護者5名が,研究参加者として,当該のACTプログラムのプロトタイプに参加した。現在,個別の短期療法が終了し,フォローアップを測定中である。
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