研究課題/領域番号 |
17K04472
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉 げん洪 立命館大学, 応用人間科学研究科, 教授 (60288694)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 援助ニーズ / 発達段階 / 障害児・者きょうだい |
研究実績の概要 |
平成29年度には、日本、台湾、中国において、障がいのある同胞を持つきょうだい(以下「きょうだい」と表記する)を対象に半構造化インタビュー調査を行い、彼らの語りから人生の節目や、ライフイベントによる援助ニーズ、および期待するサービスの変化を明らかにし、そして文化との関連について検討した。
具体的には、台湾のきょうだい(就学する前の児童5名、小学生5名、中学生・高校生4名、大学生3名、社会人3名、合計20名)を対象に半構造化面接を行った。対象者は全員2002年から台湾で障害児の保護者、およびきょうだいを支援する活動を行っている財団法人・天使心(Angel Heart Family Social Welfare Foundation)によって紹介された。日本のきょうだい(中学生1名、高校生1名、大学生3名、社会人6名、合計11名)を対象に半構造化面接を行った。対象者は全員京都きょうだい会によって紹介された。中国のきょうだい4名(大学生2名、社会5名、合計7名)を対象に半構造化面接を行った。対象者は蘇州仁愛学校、昆山市障碍者連合会によって紹介された。
台湾のきょうだいを対象に行った調査の研究結果は2018年11月に開かれた日本心理臨床学会第36回大会において口頭発表を行った。「台湾障害児・者きょうだいの援助ニーズと期待するサービスの変化-発達段階に合わせて-」という題目で、発表者は頼念華(国立台北教育大学心理学科)、張亦瑾(NPO法人勵馨社会福祉事業基金会)、吉げん洪(立命館大学応用人間科学研究科)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外共同研究者の甚大なご協力により台湾のきょうだいを合計20名に半構造化面接を行ったため、かなり豊かなデータを収集できた。しかし、日本のきょうだい合計11名、特に中国のきょうだい合計7名にしかインタビューできなかったので、もう少しそれぞれの発達段階に合わせて調査対象をさがし、データ収集をしていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においては、以下の推進方策を立てている。 1.日本と中国のきょうだいをさがし、半構造面接を行うことによって、データ収集を行う。2.2018年8月9~12日、米国サンフランシスコで開かれるAPA2018(American Psychological Association Annual Convention in San Francisco)に申し込んだ発表が採択されたため、日本のきょうだいを対象に行った調査の研究結果を公表する予定である。題目は「「Changes in the needs and the expectations of services of supports of siblings of disabled children/people in Japan-In accordance to the developmental stage」である。
さらに、障がいのある同胞を持つきょうだいを対象とする半構造インタビューによって得られた結果に基づき、独自に「障がいのある同胞を持つきょうだい援助ニーズと期待サービス尺度」を作成する。申請者は、海外共同研究者、平成29年度のインタビュー調査に協力してくれたきょうだいと一緒に尺度の項目について1つ1つ吟味する。予備調査を経てから、日本、台湾、中国で13歳以上のきょうだいを対象にアンケート調査を実施する。アンケートによって得られたデータの統計分析を行い、障がいのある同胞を持つきょうたいの援助ニーズと期待するサービスを発達に沿って順番をつけ、変化パターンを見出していく。また、日本、台湾、中国の相違について検討し、文化との関連について考察を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年11月末に中国で行った調査は十分ではなかったため、本年度において収集した中国のきょうだいのデータはやや不足している。次年度はさらに積極的にいろんな機関、個人に働きかけ、調査対象者となってくれる方をさがし、半構造面接を実施していく予定である。 具体的には、2018年5~8月にかけて合計3回ほど中国へ出張し、蘇州市特別学校の仁愛学校、蘇州聾唖学校に協力してもらい、きょうだいを対象に半構造面接の調査を実施する。蘇州聾唖学校と調査に関する打ち合わせはもうすでに済んでいることも付記しておく。
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