研究課題/領域番号 |
17K04472
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉 げん洪 立命館大学, 人間科学研究科, 教授 (60288694)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 援助ニーズ / 発達段階 / 障害児・者きょうだい |
研究実績の概要 |
平成30年度は前年度に引き続き、日本、台湾で障がいのある同胞を持つきょうだいを対象に半構造化インタビュー調査を行った。特に中国のきょうだい9名を対象に調査を実施できたため、データを補強した。したがって、最終的には日本10名、中国16名、台湾20名のインタビュー調査を行い、データを収集できた。そして、Modified Grounded Theory Approach (M-GTA)を用いて日本、台湾、中国のデータについて質的分析を行った。 日本人きょうだいを対象に行った調査の研究結果は「Changes in the Needs and Expectations of Supports for Siblings of People having Disabilities in Japan -In accordance to the developmental stage」という題目で2018年8月米国・サンフランシスコで開かれたAmerican Psychological Association 2018 Conventionにおいてポスター発表を行った。また、2018年9月神戸で開かれた日本心理臨床学会第37回大会で「障がい者きょうだいの援助ニーズと期待するサービスの変化―日台比較を通して」という題目で自主シンポジウムを行った。企画者・司会者・話題提供者は吉げん洪(立命館大学)、指定討論者は頼念華(国立台北教育大学心理学科)、話題提供者は西田典子(高島市民病院)と張亦瑾(立命館大学)であった。そして、日本と台湾のきょうだいの比較研究結果は「Changes in Needs and Expectations of Support for Siblings of People with Disabilities - A comparative study between Japan and Taiwan」という題目で、2018年11月米国・ボストンに開かれたThe 3rd Japan-US Science Forum in Bostonで発表を行った。 さらに質的分析によって得られた結果に基づいて「障がいのある同胞を持つきょうだい援助ニーズと期待サービス尺度」を作成し、現在予備調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本、台湾、中国において収集できた豊かなデータを丁寧に質的分析を行ったため、予定より時間がかかった。現在「障がいのある同胞を持つきょうだい援助ニーズと期待サービス尺度」を独自に作成し、現在予備調査中である。本調査を行えるように急ぐ必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度においては、以下の推進方策を立てている。 1.独自に作成した「障がいのある同胞を持つきょうだい援助ニーズと期待サービス尺度」を用いて日本、台湾、中国で本調査を行う。2.2019年6月に開かれる日本心理臨床学会第38回大会に申し込んだ口頭発表が採択されたため、日本、台湾、中国のきょうだいを対象に行った比較研究の調査結果を発表する予定である。題目は「きょうだいの発達段階における援助ニーズの変化―日中台比較研究―」である。 また、アンケートによって得られたデータの統計分析を行い、障がいのある同胞を持つきょうだいの援助ニーズと期待するサービスを発達に沿って順番をつけ、変化パターンを見出していく。また、日本、 台湾、中国の相違について検討し、文化との関連について考察を行なう。 さらに最終年度である令和元年度には過去2年間の研究成果をまとめ直し、国内外の学会で報告してフィードバックを受け、学際的な議論を行い、論文としてまとめる。障がいのある同胞を持つきょうだいの発達段階に添った、そして日本・台湾・中国の文化に合った臨床心理学的援助モデルを構築し、報告書や論文発表したところで本研究を終了とする。
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