研究課題
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(ASD)を抱える子どもと養育者のためのアタッチメントに基づいた新しい支援方法の確立である。養育困難を訴えるASD児の母親を対象に、アタッチメント理論に基づき開発された「安心感の輪子育てプログラム」(COSP)をグループ形式で実施し、介入効果の検証を行う。介入群のプログラム参加前後の比較による質的、量的検証に加え、プログラム不参加の非介入群との非ランダム化比較検証も行い、本介入の効果をより具体的かつ合理的に示す。介入群として計22組の親子が本研究の参加した。効果検証は、事例検討による個別の具体的効果の検討、および介入前、終了後、終了6ヶ月後、終了12カ月後に質問紙調査および聞き取り調査を実施し、現時点で20サンプルの終了6ヶ月後までの調査とデータ集計が完了した。非介入群への調査も実施し、現時点で56組の親子のベースライン、および6ヶ月後、12ヶ月後のデータ取得が完了した。終了6ヶ月後までの調査結果の非ランダム化比較分析の結果からは、ASD児の養育者に対するアタッチメント理論に基づくプログラム介入が、ASD児の育児効力感を高め、母親の精神健康度を改善し、わが子の行動に関する主観的な困難感を低減しうることが示唆された。この結果を2020年度に国際学会で発表する予定であったが、新型コロナウィルス感染症による影響で学会が中止となった。現在、それらの効果の持続性について、終了12カ月後での調査結果を含めて分析、検討をしている。
3: やや遅れている
介入終了6ヶ月後の効果検証の分析結果を国際学会で発表し、専門家と意見交換をする予定であったが、新型コロナウィルス感染症による影響で学会は中止となった。また、新型コロナウィルス感染予防対策により、自身、および被験者の研究機関への出入り制限によって、作業に滞りが生じた。研究期間を1年延長し、研究を達成する。
全調査期間に実施したプログラムの効果検証のため、得られたデータを詳細に分析する。さらに、得られた結果を取りまとめ、国内の学会での発表、および国内外の学会誌に投稿し、成果の発表を行う。
新型コロナウィルス感染症による影響で、予定していた国際学会、学会参加費と旅費が未使用となった。繰り越しとなった助成金を現在取り組んでいる研究成果発表費用、および英文校閲費などに充てる。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Current Psychology
巻: - ページ: -
10.1007/s12144-020-01297-9
日本サイコセラピー・薬物療法学会
巻: 20 ページ: 37-46