研究課題/領域番号 |
17K04476
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
松本 明生 福山大学, 人間文化学部, 准教授 (30406897)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 体験の回避 / ストレス反応 / 認知的評価 / コーピング / 臨床行動分析 / ストレスマネジメント / 大学生 |
研究実績の概要 |
H30年度では体験の回避と認知的評価,ストレスコーピングとストレス反応との関連について調査研究を行った。対象は大学生であり,体験の回避を測定する質問紙である日本版AAQとSRS-18(ストレス反応尺度SRS-18),認知的評価尺度,TAC-24(ストレスコーピング尺度)への回答を求めた。本研究では不備のある回答を除いた243名のデータを分析の対象とした。
体験の回避と認知的評価およびストレスコーピングとの相関係数を求めたところ,認知的評価のうち,コントロール可能性が日本語版AAQの2つの下位尺度と有意な相関であったこと,さらにいくつかのコーピング下位尺度と有意であったことが示された。さらにこれら3つの変数がストレス反応を説明するかどうかについて,SRS-18合計得点を従属変数とした階層的重回帰分析を行った。Step1では認知的評価尺度の4つの下位尺度得点を投入した。Step2ではTAC-24の8つの下位尺度得点,Step3では日本語版AAQの2つの下位尺度得点を投入した。これらの分析の結果,Step1では脅威性とコントロール可能性の標準偏回帰係数(β)が有意であり,説明率も有意であった。Step2では上述の2つの認知的評価下位尺度とカタルシス,放棄・諦め,気晴らし,責任転嫁が有意なβを示し,説明率およびその増分も有意であった。Step3では日本語版AAQの2つの下位尺度得点のβと説明率およびその増分が有意であった。
以上の結果は,認知的評価とコーピングの影響を統制した際にも体験の回避が心理的ストレス反応を予測することを示すものであり,体験の回避への介入が認知的評価やストレスコーピングを変容させ,ストレス反応を低減させる可能性を示すものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H30年度で計画した研究はすべて実施し,調査サンプルの偏りを考慮し,東北,関東,中国地方でデータを収集した。おおむね研究実施者が想定していた結果を得ることができた。これからH31年度に計画している介入研究を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
介入研究を行うが,本年度で終了でき,かつより精緻な研究とするため,グループ比較でなく少数事例の単一研究法による研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゼロではないものの,残額はほとんどなく,ほぼ計画通りに使用した。
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