研究課題/領域番号 |
17K04477
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
小川 邦治 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (80537598)
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研究分担者 |
田原 直美 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (10708879)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 健康開発 / 職場のメンタルヘルス / 中間管理職の役割 / 上司の「ケア力」 / 心理的安心感 / 関係葛藤 / 課題葛藤 |
研究実績の概要 |
1.中間管理職(上司)の「ケア力」に関する先行研究の整理と面接調査準備 2017年度は海外文献を中心に中間管理職に期待される部下のケアについて資料収集を試み,併せて倫理的観点からより具体的な面接調査計画を検討し,本学大学院人間科学研究科倫理委員会にて審査を受けた。海外文献については後述のように具体的な先行研究を見出すことができなかったことから,今後は国内文献にも対象を広げて精査し,成果を論文にまとめる予定である。面接調査は企業で働く臨床心理士を中心に調査協力者を10名程度確保した。 2.中間管理職の「ケア力」に影響を与える組織要因の特定 中間管理職の「ケア力」を検討するためにはまず職場における心理的安心感がチームコミュニケーションにどのような影響を与えているかを検討することが重要である。したがって2017年度は組織健康度(小川, 2011),心理的安心感(De Brentani & Kleinschmidt, 2004),チーム内コミュニケーション(縄田, 2015),集団葛藤(村山・大坊, 2008)を用いた定量的調査を協力事業所A(従業員600名)に対して実施した。その結果,課題コミュニケーション及び率直さと情緒性が,関係葛藤によって阻害されること,逆にチームにおける安心によって促進されること,メンバーから受容され支援を求めることができるという安心があるとき,課題葛藤はないよりもむしろあったほうが課題コミュニケーションを促進すること,そのような安心があっても,関係葛藤は少ないほうが課題コミュニケーションを促進することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度は海外文献を中心に中間管理職に期待される部下のケアについて資料収集を試みたが,「中間管理職のケア力」に該当する研究を見出すことができず,「上司のケア力」概念の再検討を迫られることになった。この点については国内文献にも対象範囲を拡大して「中間管理職のケア力」についての概念の整理を進めたい。 中間管理職及び臨床心理士を対象とした面接調査については,面接までのプロセスを倫理的観点からより妥当なものとするために計画を精緻化し,さらに本学大学院人間科学研究科倫理委員会にて審査を受け,研究計画に倫理的観点から問題がないことの承認を得たがその審査過程に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
1.中間管理職(上司)のケア力に関する先行研究の整理 2017年度は海外文献を中心に先行研究を調査したが具体的な成果がみられなかったことから,2018年度は国内文献にも焦点を当ててレビューを実施する。レビューを論文にまとめて投稿する。 2.中間管理職および臨床心理士を対象とした中間管理職の「ケア力」に関する調査 面接対象の選定および研究の全体像の明確化を考えて,今年度は臨床心理士を対象とした面接調査を実施する。現在10名の調査協力者を得ており,順次面接調査を実施する。 3.中間管理職の「ケア力」に影響を与える組織要因についてのマルチレベル分析 協力事業所A(従業員600名)に対して実施した調査データをもとに,職位にマルチレベルを設定した際の職場の組織要因の関係について検討する。その成果を論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だったノートパソコンが当初の想定よりも安く購入できたため。残金は今後逐語記録作成のためのテープ起こし代として使用する予定である。
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