急速な高齢化が進行する中、高齢者の「メンタルヘルスリテラシー」を高めようとする取り組みは、高齢者の「心の健康」の保持・増進、心理的課題への支援の一つの方法として有用でないかと考える。「メンタルヘルスリテラシー」とは、メンタルヘルスに関する知識、理解、そして態度の総称である。そこで今回、日本の高齢者を対象に「メンタルヘルスリテラシー」に関する調査を行い、高齢者の「心の健康」作りに向けた取り組みの可能性について検討することを目的とした。 研究計画1年目・2年目は、調査を実施し結果をまとめ、高齢者のメンタルヘルスリテラシーの特徴について明らかにしたり、それに関する情報収集や意見交換を国内外関係者と行った。研究計画最終年度は、更に解析を進めたり、関係者との情報交換を継続的して行った。研究成果の公表にも努めた。また本研究で得られた知見も取り入れながら、高齢者への支援に携わった。 その結果、(1)高齢者のメンタルヘルスリテラシーが更に向上していくための手立てを考えていくこと、(2)高齢者一人ひとりのニーズに沿った幅広い心理支援を行うこと、(3)一人ひとりに届く「心の健康」作りへの工夫を考えていくこと、(4)高齢者ご自身も支援の提供者としての意欲が高いことなどが明らかになった。 日本における高齢社会への取り組みは海外からも注視されている。「心の健康」作りについても、継続して展開されることが重要であることが示唆された。
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