研究課題/領域番号 |
17K04489
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
上原 泉 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 准教授 (80373059)
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研究分担者 |
村上 郁也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60396166)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 実験系心理学 |
研究実績の概要 |
言語を含む認知発達の変化と視空間的・時空間的な注意機能の発達変化、さらにそれらの関連性を調べるため、乳児、幼児、成人を対象に、非言語的、言語的刺激を使って様々な課題により検討を行っている。 29年度は、まず、初語を発する前後における乳幼児を対象に、単語音声のリズムとそれにあわせて提示する視覚刺激への注意の向け方を視線測定により調べる課題を作成し実験を開始した。言語発達の指標もあわせてとっている。また、2~3歳頃の幼児を対象に、複数種類の刺激において、概念レベルの異なる図形を提示の際の、視線測定による注意の向け方を検討する課題と、探索行動を検討するための立体物を設定し、言語発達検査得点との関連性をみる調査を開始した。成果の一部については、国際学会で発表した。予定しているデータ数には達していないため、30年度も引き続きデータ収集していく予定である。幼児期半ば以降と1歳半~2歳頃を対象とした課題を作成したが、データ収集は30年度に主に行う予定である。成人を対象とした実験では、視空間的な注意の向け方において、異なる空間上にある複数の非言語的対象の一方に外発性注意が向いた場合の反応時間の変化を規定する情報処理過程上の決定要因を同定するべく認知心理学的実験を行った。その結果、反応時間におよぼす知覚過程、意思決定過程、運動過程の寄与の相対的大きさに示唆が得られた。一部の成果については、国際論文の投稿の準備中であるが、こちらもまだデータ数が達していないため30年度も引き続き収集していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳幼児を対象とした新たな実験、調査課題を作成し、ある一定数のデータ収集ができたうえ、別の新たな課題についても準備ができた。成果の一部については学会発表を行うことができた。30年度は、前者の実験・調査課題のデータの補足をしながら、準備の整った新たな課題のデータを本格的に収集していくことに力を入れることができる。成人については、研究分担者を中心に、視空間的注意の課題の刺激や提示時間のあり方を最適化して新たに認知心理学実験課題を作成したうえ、一定数のデータを収集し、成果の一部については論文化を行っているところである。成人についても、30年度にデータ補足を行いながら、時空間的な条件を変えた新たな課題の創出と実施が見込める。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度、乳児、幼児のデータをある程度収集することができたが、調査の実施とデータ収集にはどうしても手間と時間がかかる。29年度の実験、調査課題のデータの補足のため、また、新たな課題のデータ収集のため、協力いただける参加者を順調に増やしていけるよう、複数の協力機関にチラシを置かせていただいたり、個別の依頼方法を検討するなど、複数の依頼方法で募集に力をいれていく。また、引き続き、すべての調査において、研究協力者からの補助を得ながらすすめるが、遅れが出た場合は、遅れている度合いに応じて、研究協力者を増やす。
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