視空間的・時空間的な注意の向け方について、乳幼児については、言語発達と関係性をみるため、併せて言語発達検査を行いながら、乳児、幼児、成人を対象に、2017年度、2018年度にモニタ上に非言語的、言語的刺激を呈示する手法で行ってきた実験データの補足とまとめを行った。また、幼児を対象とした調査で、様々な刺激を使った実験データの収集に2018年度に力を入れたが、2019年度はその実験データを追加し、成果に向けての分析とまとめの作業をすすめた。 乳児と年齢の低い幼児については、日本語音声にあわせて呈示する視覚刺激や、機械音を伴う視覚刺激への視線測定と反応データを補足し、音声や機械音の違により視覚刺激への視線の向け方や反応が変わる可能性が一部で示され、それらのデータ分析と結果のまとめを行った。2歳前から3歳の幼児については、物体への注意の向け方を、行動におけるエラーの有無や言語発達過程と併せて集めてきたデータを補足して分析をすすめ、結果を整理した。いずれも、最終年度内に、学会発表、論文化には至らなかったが、その成果については、近く公表できる見込みである。成人を対象とした実験では、異なる空間配置下において、聴覚刺激の呈示間隔や視覚刺激の文字性・意味性の有無の操作を行うことで検討してきた。複数の実験結果について整理し、二次元上の視空間、時空間的な注意処理メカニズムの考察を行った。乳幼児と成人の結果について、直接的に比較できない部分はあったが、発達過程に関する考察を行うことにより一定の示唆を得た。
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