長時間観察による順応で生起する一種の残効と考えられていた円図形変形錯視と同様の現象が,円図形とそのグラデーション図形を交替させるフラッシュ呈示により短時間で生起することを確認した。この動的錯視を「ポリゴン化効果」と名付けて生起機序の解明を目指した本研究では,フラッシュ呈示による短時間生起が極めて頑健な現象であり,グラデーション図形の形状を変化させても両眼分離呈示でもこの錯視が生起することを3つの実験から明らかにした。次にこの錯視の生起機序を説明するモデルを構築し,特定の曲率で曲線的に並んだ小さな線検出器群からなる曲線検出器の順応でこの現象を説明可能とした。
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