左半側空間無視患者では、紙面や単語の左側の読み落とし(無視性失読)が認められる。本研究は、左半側空間無視患者の読み落としの発現に関わる要因を視線計測により検討し、以下の成果を得た。(1)文の改行時の読み落としの出現率は、改行位置の影響を受ける。改行時の視線は、文の改行が語中で行われる場合に、より行頭近くに達しやすい。(2)複合語の読み落とし方は、語彙に関する知識の影響を受け、視線の停止位置を反映する。(3)左空間に提示された単語は、右空間に提示された単語よりも、視線がより近くまで達しないと正しく認知されない可能性がある。
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