研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、映像作品中の表現技法の分析から、視覚的な運動による対象の質感知覚の基本原理を実験的に明らかにすることである。まず、質感のひとつである粘性及び対象の大きさ表現に関連する表現について、特撮作品を中心に分類を行った。その分類を基に、映像作品及び作成したCGによるパターンそれぞれについて、映像内の流体の粘性と被写体の見た目の大きさ判断を行う実験を実施し、映像内の粘性判断と、それに関連する対象の大きさ判断との間には相互関係があることを示した。
実験心理学
本研究の意義は、これまで映像制作者が経験則で行ってきた映像作品中の表現技法について、質感・素材感をキーワードとした心理学実験を通じてその効果を検証した点である。本研究成果により表現技法とその視覚的効果の関連が明文化されることで映像制作現場における技術や基礎知識の共有につながるなど、心理学のみならず映像表現や感性研究の分野にも広く貢献することができると考えられる。