| 研究課題/領域番号 |
17K04505
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| 研究機関 | 星薬科大学 |
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研究代表者 |
川崎 勝義 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (20339526)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 予期的対比 / 道具的行動 / 脳内メカニズム / 扁桃体 / 海馬 / 島皮質 |
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| 研究実績の概要 |
予期的対比（AC)は、後により価値の高い報酬が与えられるとき、それ以前の報酬へのアプローチが減少することを言う。しかし、ラットのACは完了行動でのみ確認され、道具的行動においては見られないとされてきた。本研究はラットの道具的行動においてACが見られる条件を見いだし、脳内メカニズムを探ることを目的としている。
昨年度までの研究により、ラットの道具的学習においてもACが見られることを確認した。この研究は、ラットに一日2回（１stコンポーネント、２ndコンポーネントそれぞれ3分）の連続したノーズポーキング(NP)学習を行わせたものでああるが、1stコンポーネント(comp)でFR3-Reward1(３回のNPに対してエサ報酬１）、2nd compでFR1-Reward3（１回のNPに対してエサ報酬３）、comp間間隔（ICI)30秒のときACが発現することを確認できた。また、ICIを5～180秒変化させてもACの出現には統計上変化がないことが確認された。
そこで令和元年後半から２年度においては、AC発現の脳内メカニズムの検討に入り、まず網羅的に関連部位をスクリーニングするため、関連すると思われる脳部位においてc-Fosの発現を調査することとした。これまで同様、1st comp-FR3-Reward1、2nd comp FR1-Reward3 ICI30秒で10日間NP学習を行い、ACの発現を確認した後、11日目の学習終了後90分が経過した後に被験体の脳を取り出し、c-Fosの測定を行った。扁桃体、海馬、島皮質において実験群のc-Fos発現を、1st 2nd 両compともFR3-Reward1であった統制群と比較したものの、有意な差は認められなかった。その後、実験終了から脳の取り出しまでの時間をより統制した実験を行い、現在その解析中である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定では、1年目から2年目にかけて道具的行動におけるAC発現のためのパラメータを明らかにし、2年目後半から3年目には損傷実験や機能停止実験などによって脳内メカニズムの検討に入る予定であった。1年目後半に実験室内の空調設備修理などがあり一時研究が停滞する場面もあったが、その後順調に取り戻した。しかし、2年目、3年目において行動実験装置の不具合が相次ぎ、一部実験が停滞した。これによって予備の部品を調達する必要などが生じた。また、今後の実験を効率的に行うため3年目からあたらにc-Fosの測定を導入することとしたが、これに若干時間がかかっている状況であったのに加えて、新型コロナ感染症対策による構内立ち入りへの制限や実践環境の変化によって遅延が起こっている状況である。
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| 今後の研究の推進方策 |
前年度、新型コロナの実験室環境への影響の他、c-Fos測定の実験を追加したため、この結果を十分に解析する必要があり、1年の延長をお願いした。最終年度にあたって、一昨年度から取り組んでいる脳内メカニズムに関する実験を推し進めたいと考えている。新型コロナの影響で施設立ち入りや物品の納入が一部制限されているが、さらに計画的に進めることによって、予定通り推進できるよう努めたい。当面は、昨年度から行っている実験により、c-fosの活性が脳内のどの部位で起こっているかを分析し、この情報によって特定部位の損傷実験、あるいは機能停止実験などを行う。これによって、ラットの道具的行動における予期的対比に関与する脳部位を特定し、これまでの情報などによって、それぞれの部位がどのような関わりを持っているのかを推測したいと考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
ｃ-Fos測定の新しい実験の追加と、新型コロナの影響による進捗の遅れが生じたため、引き続き一部実験を継続する必要がある。
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