本年度は、昨年度までに作成した難易度調整が可能な課題を用いて、情報希求行動の形成を試みた。しかし、結果として、情報希求行動の検討は十分に行えなかった。以下に本年度の取り組みを記す。 昨年度までの計画において、視覚刺激を左右に並べて配置した実験課題において、様々な視覚刺激の 弁別が実施できるようになった。今年度は、新たに任意の視覚刺激を組み合わせた複数の刺激対の弁別を同時に学習することで、A>B>C>D>E>F>Gの系列の獲得を試みた。通常、この系列学習では、A>BやF>Gなどの系列の両端は学習されやすく、系列中間の刺激対は弁別が困難である。そのため、中間項目に対する情報希求行動を検討できると考えた。結果、複数の刺激対を同時に学習することはできなかったため、A>Bの弁別が獲得した後、B>Cを追加、B>Cの弁別が獲得した後、C>Dの弁別を追加という手順に変更したところ、A>B>Cまではすべての個体が弁別を獲得できた。しかし、C>Dの弁別まで獲得できた個体は1個体のみであった。情報希求行動を検討するためには少なくとも5項目の系列学習がされている必要があるため、本研究では、情報希求行動を組み合わせる段階まで、実験を進行させることができなかった。 これとは別に、装置のモニタに設置した窓枠を2つから3つに増やし、左、右の窓枠に弁別用の視覚刺激を提示し、中央の窓枠に情報希求反応を求めるように変更し、弁別困難な視覚刺激を左右に提示したときに、中央のパネルに対して情報希求反応の訓練を試みた。情報希求反応は生じるものの、左右に提示した刺激の難易度に応じたものではなく、実験箱内の探索行動の1種類として低頻度で生じるのみであった。弁別課題を長期間訓練後に、情報希求行動を導入するのは困難なことが明らかになったため、今後、情報希求行動を訓練後に弁別課題の訓練を導入することを検討していきたい。
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