研究実績の概要 |
本年度(平成30年度)は交付申請時の本研究課題2年目の研究計画通り、ヒトを被験者とした聴覚性驚愕反応およびそのプレパルス抑制を測定するための簡易な装置の開発を行った。 驚愕刺激としてヘッドフォンを通じて提示する聴覚刺激、眼瞼に対する空気刺激、および足裏に対する電気刺激の3通りを利用した。また、驚愕反応の指標として、筋電位変化(首・肩、顔表面、および眼筋)および姿勢変化を利用した。その結果、これらの刺激と反応の組み合わせの中で、ヘッドフォンを通して提示する聴覚刺激と首・肩および顔表面の筋電位変化の組み合わせが、本研究の実施環境において驚愕反応の測定に適していた。 予備実験の結果を基に、ヘッドフォンを通じて提示する聴覚刺激と顔表面筋電位反応を用いて、聴覚性驚愕反応のプレパルス抑制実験を行った(室内の騒音レベルは40dBA)。驚愕刺激としてホワイトノイズ(4000Hz, 114dB, 40msec)、プレパルスとしてホワイトノイズ(4000Hz, 80dB, 20msec)を用いた。また、リードタイム(プレパルスの提示開始から、驚愕刺激の提示開始までの時間)は先行研究(Takahashi et. al., 2008)に従って120msecとした。聴覚刺激の発生と刺激タイミングの調整はLabVIEW(NI社)によって行い、反応の測定にはPowerLab(ADINSTRUMENTS社)を用いた。1回の測定は驚愕刺激のみの提示(10試行)と聴覚刺激とプレパルスの対提示(10試行)の20試行で構成し、10-15分のインターバルをおいて3回測定を行った。研究初年度(平成29年度)に作成・実施した認知バイアス評価尺度によって偏りがないと評価された被験者(男女各1名)を対象として実験を行ったところ、本簡易システムによって聴覚性驚愕反応およびそのプレパルスインヒビションの測定が可能であった。
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