研究課題/領域番号 |
17K04510
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
清水 寛之 神戸学院大学, 心理学部, 教授 (30202112)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 記憶 / メタ記憶 / 記憶モニタリング / 記憶コントロール / 自己認知 / 状況認知 |
研究実績の概要 |
本研究は、人間が自己の記憶能力や記憶特性、知識状態をどのように認識し、それに基づいて記憶活動をいかに展開していくのかを、個人の自己認知と状況認知に関連づけて明らかにすることである。メタ記憶(記憶に関するモニタリングとコントロール)と自己認知・状況認知との関係に焦点を絞り、認知心理学的方法を用いて研究を進める。大学生を対象に、個人ごとに(1)代表的な記憶実験と標準化された記憶検査による実験室場面での記憶能力とメタ記憶の測定、(2)質問紙調査による日常生活場面での記憶行動傾向とメタ記憶信念の把握、(3)質問紙調査と面接調査による自己認知と状況認知の同定、の3点に関する基礎的データを収集する。2021年度は、次の4つの研究活動を行った。 1.実験・検査・調査の実施:主要な先行研究文献を入手し、これまでの重要な研究知見を整理するとともに、前年度までに実施した実験的研究の結果をもとに追加的にデータ収集を行った。具体的には新たに、大学生31名に対して個別的に同一条件のもとで記憶実験・記憶検査・記憶調査を実施した。 2.実験・検査・調査のデータ分析:実験・検査・調査によって得られたデータを整理し分析を行った。その結果、全体的に個人差が大きいことが再確認され、引き続き大学生を対象に実験等を実施し、データ収集の追加を行うことにした。 3.実験・検査・調査の継続実施に向けた準備と調整:計画では2021年度末に本研究を終了する予定であったが、継続実施の決定により科学研究費補助事業期間の1年間の再々延長を申請し承認を受けた。また、学内の研究倫理委員会にも研究期間の再々延長の申請を行い承認を受けた。 4.既有の実験調査データの公表(論文化):本研究テーマに関連して過去においてすでに収集した実験調査データの整理・分析を行うとともに、関連事項の論考を含め、研究書の分担執筆、論文作成及び学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、2017~2019年度の3か年を研究期間に設定し、遅滞なく以下の研究活動を行った。①実験・検査・調査の実施(大学生に対する個別的な記憶実験・記憶検査・記憶調査の実施)、②実験等のデータの整理と分析(記憶実験等によって得られたデータの整理と分析)、③既有の実験調査データの公表(学会発表と論文化)。このうち、上記②の結果、実験等のデータに個人差が大きいことが判明し、慎重を期して、引き続き大学生を対象に実験等を実施し、実験等の追加データ収集を行うことにした。継続実施の決定により科学研究費補助事業期間の1年間延長を申請し、承認を受けた。それに伴って、学内の研究倫理委員会にも本研究の研究期間の延長の申請を行い、承認を受けた。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、予定していた実験等の実施が困難となり、科学研究費補助事業期間の1年間の再延長を申請し、承認を受けた。また、学内の研究倫理委員会にも研究期間の再延長の申請を行い、承認を受けた。さらに2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた実験等の実施が困難となり、科学研究費補助事業期間の1年間の再々延長を申請し承認を受けた。また、学内の研究倫理委員会にも研究期間の再々延長の申請を行い、承認を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画にある研究方法にしたがって、記憶実験・記憶検査・記憶調査の継続実施を行う。これまでの実験等の材料や手続きを踏襲し、追加実験等の実施に進む。研究参加者全員に対して個別的にすべて同一の記憶実験・記憶調査・記憶検査への参加協力と研究データの提供を求めるために、引き続き、過度の心理的負担や疲労、ストレスを与えないように配慮して研究を進めていく。これまでと同様に、あとの研究計画の実行に支障の出ない範囲で、研究データの一部を関連する学会や研究会で発表し、専門家から意見を求め、研究論文の作成に役立てる。他の研究者による最新の研究成果を本研究に活用できるかどうかを検討するが、研究の内容・方法に関して当初計画から大幅な変更は行わず、研究データの収集・蓄積を図っていく予定である。新型コロナウイルス感染症対策に関連した状況変化や政府・自治体・所属機関等の諸施策に迅速に対応し、さまざまな倫理規準にしたがって確実な倫理的配慮を維持しながら研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により研究計画の変更が生じた。翌2022年度は、引き続き実験・検査・調査を実施してデータを収集するために、主に、研究参加協力者への謝金を確保するとともに、実験等の実施に伴う消耗品の購入に充てる。また研究成果の一部を発表するために学会大会参加費・学会出張旅費に使用する。
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