| 研究課題/領域番号 |
17K04512
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| 研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
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研究代表者 |
谷 利樹 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (60392031)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 音素修復 / マーモセット / 聴覚野サブ領域 / カルシウムイメージング |
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| 研究実績の概要 |
連続的な音のつながりを持つ音声から100～200ms 程度の間隔ごとに音を抜き取るとその内容の理解が極めて困難になる。しかし、その抜き去られた音のかわりに広帯域の雑音を挿入すると元の音声を滑らかに知覚することができる。この断続的な音声が雑音の存在により元の音声に修復されたように聞こえる補完現象は音素修復と呼ばれている。
本研究では高度なコミュニケーション能力を持ち、聴覚野を含む大部分の皮質領域が脳表面に露出している小型霊長類マーモセットを用いて音素修復に関わる大脳皮質の神経ネットワークを同定し、その包括的な神経メカニズムを明らかにすることを目的とする。
昨年度までの研究において脳表面に露出した聴覚皮質に神経活動依存的に蛍光を発するタンパク質をウイルスベクターを用いて導入したマーモセットを専用のチェアーに座らせ覚醒下で１光子カルシウムイメージンを行い音の周波数に反応する領域を同定し、聴覚皮質のコア領域、ベルト領域、パラベルト領域における音素修復刺激に特異的に反応する領域の同定を行った。脳表面に露出している聴覚野の各サブ領域のにおいては音素修復刺激に特異的に反応する領域は見出されなかった。そこで本年度は側頭溝の内側面の聴覚領域における反応を取得するためにプリズムを用いた新規イメージングを行い、聴覚野全領域から網羅的に神経活動の計測を行った。その結果、側頭溝の内側面の聴覚領域における神経活動を確認することができた。現在、音素修復刺激に対して特異的に反応する領域の探索を行っている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで脳表面に露出した聴覚皮質全域からが音素修復刺激に対して特異的に反応する領域の探索を行ってきたが脳表面に露出した聴覚皮質においては音素修復刺激に特異的に反応する領域が確認されなかったため、側頭溝内面に存在する聴覚領域も含めた網羅的な計測が重要であると考えた。
今年度は側頭溝の内側面に存在する聴覚領域を含めた全ての聴覚領域から音素修復刺激に特異的に反応する領域を探索するためにプリズムを用いた新たなイメージング法の確立が必要となりその検討を行ったことと昨年度当初からのコロナ対策のための在宅勤務等の導入等により所内での勤務の制限があったため研究計画にやや遅れがが生じている。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度は音素修復刺激に対する聴覚野サブ領域（コア領域、ベルト領域、パラベルト領域）の反応特性の違いを明らかにするために側頭溝の内側面に存在する聴覚領域を含む全ての聴覚野領域から網羅的に神経活動の計測する。側頭溝の内側面に存在する聴覚領域から反応を取得するために昨年度確立したプリズムを用いた新規イメージングを行う。また、反応性を増強させるために音素修復刺激の種類を増やすとともに、より時間解像度の高いイメージング法の導入を行い各聴覚野サブ領域の音素修復刺激に対する神経応答を詳細に調べ、各サブ領域の反応特性の違いを明らかにする。
さらに各聴覚野サブ領域における音素修復刺激反応領域間の神経結合様式を明らかにするために音素修復刺激に反応する細胞群の神経線維連絡を神経トレーサーを用いて調べる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
昨年度当初からのコロナ対策のための在宅勤務等の導入により所内での勤務の制限があり、研究期間の延長を申請したため。
今年度は昨年度の未使用額にて学会発表費、論文作成費等を予定している。
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