最終年度である令和元年度は,前年度までの研究活動の成果に基づいて,臨床教育学の観点から本研究の総括を行った.国内では,前年度までに構築した教員養成・現職教育カリキュラムに関する理論的枠組みと,ピア・グループ・コンサルテーション(PGC)におけるオープンダイアローグの構造仮説に基づいて,PGCの実地調査を行い,研究協力者との協働リフレクションを遂行した.国際的には,リトアニアの教育大学における「物語を紡ぐ学び」(NLG)の研究と,フィンランドのオウル大学における「ウェルビーイングを促進する学習環境」の研究と連携しながら,PGCに関する国際的な共同研究を遂行した.その際,ZOOMミーティングを活用したインターネット上の双方向遠隔システムによる研究協議と動画による参与観察を継続し,共同研究の成果を交流し合った. PGCの概念モデルを教員養成・現職教育に活用するために,フィンランドやリトアニアとの共同研究を通して蒐集してきた文献と実践データを精査し,北海道教育大学大学院臨床教育学研究室編『臨床教育学と保育・教育実践』第2号において「Ed.D.型博士課程の構想と課題」というテーマで研究論文の発表を行った.また,本研究の国際的な位置づけを明確にするために,「USAにおけるEd.D.型博士課程構想の基本デザイン」というテーマで海外調査分析表を作成した.また,日本において蒐集した参与観察記録と理論研究のデータを,一連のエピソード記録と省察として整理し,令和2年3月に,その成果を北海道教育大学大学院臨床教育学研究室編『ピア・グループ・コンサルテーション(PGC)研究成果資料集録』として刊行した.
|