研究課題/領域番号 |
17K04521
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
室井 麗子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (40552857)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ルソー / 霊的な訓練 / 教育思想史 / 自伝 / ピエール・アド / 孤独 |
研究実績の概要 |
初年度である平成29年度は、本研究課題の理論枠組みと参照枠組みの精緻化に努め、また、本研究課題の主たる素材であるルソーの自伝的著作群を教育思想史的に分析するための素地を整え、平成30年度以降の研究課題遂行のための準備的作業を行った。 まず、これまで進めてきたピエール・アドの『Qu'est-ce que la philosophie antique?(古代哲学とは何か?)』の翻訳作業を中心に、本研究課題の理論枠組み・概念である「霊的な訓練exercice spirituel」の分析の精緻化に取り組んだ。本作業を通して「霊的な訓練」の思想史を丹念に追い、そうして、その内実や意義の一端を解明することができた。 上記の精緻化の作業と同時に、本研究課題の参照枠組みの一つであるマルクス・アウレリウスの『自省録』を分析し、マルクス・アウレリウスの「霊的な訓練」ならびにその中心をなす「自己教育・自己形成の鍛錬」の内実や思想史的位置づけ・意義の一端をも明らかにすることができた。 さらに、本研究課題の主たる素材であるルソーの自伝的著作群(『告白』、『ルソー ジャン=ジャックを裁く』、『孤独な散歩者の夢想』)を、教育思想史的に分析するための準備作業として、まず、自伝研究におけるこれらの著作群についての諸解釈を再確認した。同時に、これらの著作群を教育思想史的に分析する際に重要な観点の一つとなる「孤独」をめぐるルソーの理論を、『人間不平等起源論』といった著作を中心に再確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は概ね計画通りに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、本研究課題の理論枠組みならびに参照枠組みの精緻化をさらに進め、それらをもとに、ルソーの自伝的著作群の教育思想史的な再検討を本格化する。そして、これらの成果をまとめ公表のための準備を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外での研究調査を次年度に延期したため。 次年度は海外での研究調査と国際学会参加のための旅費として使用予定である。
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