研究実績の概要 |
令和2年度は、山形県内における「学びの共同体」の学校改革ネットワークにおける、授業研究会およびその後の教師を対象としたインタビューを分析することを通して、新型コロナウィルス禍における授業研究会の展開と教師の学びの様相を描出した。 その展開からは、以下の点が見えてきた。第一に、臨時休校から開校、また、その後2か月ほどは、教師は、教室における探究と協同の学びの実現の方略が見えずにいた。情報源の中心はマスメディアであり、教育活動を制限する発想が多かった。第二に、そうした状況に対して、学校改革ネットワークの存在が授業研究会を開催する基盤となっていた。ネットワークで共有してきたヴィジョンが、校長の判断を後押しし、臨時休校期間でも授業研究会を開催した。第三に、授業研究会は、マスメディアの情報や行政からの通達により抑制的だった教師の活動に対して、ヴィジョンの共有を促すと同時に、教師自身の自律的な判断を、教師同士の対話により推進することを可能としていた。 この研究の成果は、MORITA(2021)Sustaining schoo reform and learning innovation under COVID-19 situation - A case study on Yamagata SLC Network- ,University of Tokyo, JAPAN、森田(2020)「学びをデザインするまなざし」『授業の創造』第77巻、山形大学付属小学校に報告した。 新型コロナウィルス禍により当初予定していた研究内容からは変更が迫られたが、学校改革ネットワークが、新型コロナウィルス禍において、教師の学びの保障に対して機能していた側面を描き出すことができた。
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