研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、2020年度、出張を伴う学会発表や資料収集はほぼ不可能となった。そのため、学術論文等の執筆や投稿、関連する公刊資料の収集を、最終年度の主な研究活動とした。結果、2020年度内に、共著1件・専門事典の項目を含む分担執筆2件・査読付きの専門学会誌論文1件等を公にした。また、日本カリキュラム学会の公開オンラインセミナー「評価と評価活動にどう取り組むか」で、司会と世話人を務めた。 延長1年を含む4年間の研究成果は、次の通り概括できる:教員は学習評価の仕方の多くを実地で学ぶ。教員の職能成長において「通知表」の作成は、自ら学習者として評価される側だった頃の経験や振り返りを含む。ゆえに教職課程や現職教育では、学習評価の客観的な技術やスキルの向上にとどまらず、評価者としての認識や価値観といった主観的な面にも留意する必要がある。以上の研究成果は、valuephobia(Scriven, M.)やteacher as researcher(Stenhouse, L.)といった諸概念の参照や定訳の見直しを含む訳語の検討、および小学校教師へのグループ・インタビューといった実証的な手続きに基づく。 残された課題は、学校段階による教員の教育評価への意識の違いの解明である。第3年次から第4年次(延長)は、種々の制約により研究計画を変更したため、中学校教師等との比較には至らなかった。 なお当初計画の第3年次(最終年度)は、これまでの研究結果を基に各種プログラム案を構築し、報告書等の作成を行う予定であった。研究代表者の当時の研究実施場所だった研究室(筑波大学人間系B棟)が耐震改修工事の対象となり、仮研究室への移転作業等の発生で多忙を極め、研究自体が大幅に遅延した。以上により、2020年度に研究成果の取りまとめや発表等を行うため、補助事業の延長を申請し、承認された。
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