研究課題/領域番号 |
17K04529
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
北田 佳子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60574415)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育学 / 教師教育 / 教職専門性 / ケアリング |
研究実績の概要 |
令和元年から令和2年6月までフルブライト研究員として滞在したアメリカ・カリフォルニア州における調査研究に基づき、つぎの通り論文と研究発表を行った。まず、論文に関しては、第一に、サンフランシスコ統合学区における「授業研究」を中心とした「ケアリング・コミュニティとしての学校」改革の事例を「区画税」という制度に着目しながら分析し、富裕学区と貧困学区で生じている格差の現状と具体的な課題を論じた論文を発表した。第二に、日本の授業研究がアメリカで受容されたプロセスと教師の自律性への影響を英語論文としてまとめ本研究の成果を広く海外に向けても発信した。 また、研究発表に関しては、サンフランシスコ統合学校の事例について、社会的公正を志向する授業研究という視点から分析し、日本教育方法学会第57回大会で研究発表を行った(「社会的公正を志向するLesson Study:米国サンフランシスコ統合学区の取り組みから」)。さらに、サンフランシスコ統合学校の実践を牽引しているMills CollegeのLesson Studyグループの役割に焦点化した研究成果の報告を、日本教師教育学会第31回研究大会で発表した(「アメリカにおけるLesson Studyの展開:Mills CollegeのLesson Studyグループの役割に着目して」)。 加えて、日本の「授業研究」を中心とした「ケアリング・コミュニティ」としての学校改革に取り組んでいる学校の調査研究成果を、The 9th International Conference of School as Learning Communityという国際学会にて、招待講演の形で発表した("Teaching for Social Justice at School as Learning Community”)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症の影響で、日本ならびにアメリカの事例調査を当初計画通り進めることが困難だったため、補助事業期間の延長を申請したが、その間、オンラインによる追加調査や文献調査を精力的に進めることができ、その研究成果を複数の論文や学会発表の形で示すことができたため、おおむね順調に進んでいると考えている。とりわけ、新型コロナ感染症により拡大した学力格差や教育機会の格差の問題に対して、「授業研究」を中心とした「ケアリング・コミュニティ」としての学校が果たす役割が注目され、本研究成果の意義も高まっていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまで実施してきた日本国内の事例研究や、アメリカやカナダの事例研究の成果を統括し、「ケアリング・コミュニティとしての学校」の特徴とその意義を、実践・理論の両面から明らかにする論文や学会発表を行い、最終成果報告とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大により、国内外の学校で実施する予定であった事例調査を中止せざるを得なかったため、本来使用予定だった調査費等を、次年度に繰り越すこととなった。この繰り越し分は、次年度における調査費、文献購入費、データ分析にかかる費用等に使用する計画である。
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