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2019 年度 実施状況報告書

カナダの消費者教育における商業広告学習の教材史研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K04531
研究機関東京学芸大学

研究代表者

上杉 嘉見  東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 准教授 (10451981)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード教育学 / カリキュラム / メディア / 消費社会 / 広告 / 宣伝 / カナダ
研究実績の概要

3年目は,マニトバ州での資料収集を行ったのち,カナダ各州の消費者教育教材に含まれる広告学習の比較研究に取り組んだ。対象とするのは,全国10州(準州を除く)のうち,1970年代から80年代のあいだに政府機関等が教員向けの教授用資料集を刊行した6州(ブリティッシュ・コロンビア,アルバータ,サスカチュワン,マニトバ,オンタリオ,ケベック)である。
消費者教育は,州によっては第二次大戦前から中等教育段階のカリキュラムに位置づけられていたが,多くの州において教育課題として認知され,教授用資料集が作成されるようになったのは1970年代のことである。こうした教授用資料集のなかで,広告は,テレビコマーシャルという新しい宣伝手段に対する関心と不安を背景に,主要なトピックの一角を占めるようになっていた。
分析の結果,これらの広告学習の内容や方法には,州や学校段階の違いにかかわらず,共通点を見いだすことができた。その中心にあるのは,消費者の知らされる権利の擁護や限りある資源の保護といった考え方を前提に設計された,広告分析の活動である。すべての州に共通していたのは,広告の内容を,客観的な商品情報と感情を動かす説得の要素に識別する課題の提示ないし要素の識別の意義を訴える記述であった。このほか半数以上の州の教授用資料集に含まれていた活動として,広告に記載されている商品情報と実物の性能との比較や,訴求の技法の分析および類型化が確認できた。また,これらの共通点が,1930年代から北米で形成されてきた消費者運動の実践と,広告をめぐって経済学およびマーケティング学の分野で交わされてきた議論を素地としていることも明らかにされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り,マニトバ州の消費者教育関連資料を収集することができた。また,これまで収集した教材を用いた州間の比較研究も順調に進めることができた。

今後の研究の推進方策

最終年度は,研究成果公開のための作業に注力する。具体的には,日本カリキュラム学会大会で今年度の研究成果を中心に発表した上で,論文執筆に取り組む。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] フェイクニュースに抗する学校教育─消費者教育の広告分析活動から学ぶ─2019

    • 著者名/発表者名
      上杉 嘉見
    • 雑誌名

      メディア情報リテラシー研究

      巻: 1(1) ページ: 92-97

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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