本研究では、1950年代から60年代までの千葉県の漁業地域における小学校に焦点を当て、学校内外にわたり生活指導にかかわる特徴的な実践が行われたことが明らかになった。第一に、銚子市の明神小学校では、1950年代に子どもの長期欠席問題の解決が図られ、やがて60年代には、銚子の荒っぽいとされる方言(話しことば)を改める「ことばなおし」の実践が生み出されていった。第二に、安房郡富崎村(現、館山市)の富崎小学校では、1950年代に東京大学の大田堯研究室との間で、漁村の教育計画をめぐり、標準語教育、子ども郵便局、子どもの遊び、家庭生活といった多岐にわたる研究と実践の往還がみられた。
|