研究課題/領域番号 |
17K04546
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡部 美香 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80294776)
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研究分担者 |
小野 文生 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (50437175)
下司 裕子 (北詰裕子) 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (30580336)
室井 麗子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (40552857)
白銀 夏樹 関西学院大学, 教職教育研究センター, 教授 (00335712)
杉田 浩崇 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (10633935)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アナロジー / 事例 / 範例 / 比喩 / 近代思想 / 近代教育学 / パトス |
研究実績の概要 |
本研究は、近代教育学が追求してきた実証科学的に説明可能なevidence-basedな知に回収されない、例やアナロジーで語るしかないような知が、人間の生成・変容や教育といかなる連関にあるのかを、思想史的手法を用いて解明するものである。これを通して、近代教育思想史のなかにある(あった)合理化一辺倒ではないいくつもの思想の筋を掘り起こし、辿り直し、近代教育思想・教育言説の別様の筋立てを構想し直すことを目的としている。 3年目にあたる2019年度は、まず、それぞれが個人研究によって考察を進めた。特に、昨年度に残された課題(アナロジー思考において、未知のものを既存の思考や経験の枠組みのなかに縮減して取り込むという画一化・同質化を促進するのではなく、多様性を保持するにはどうしたらよいか)については、フーコーのカント解釈・ルソー解釈を援用しつつ、「モデルのないアナロジー思考」(仮)と「オルタナティブを追求するアナロジー思考」(仮)という、従来の教育学ではほとんどその重要性を指摘されてこなかったアナロジー思考について提案することができた。 これらの得られた成果は次の3つの学会で発表するとともに、3月に研究会を行い、最終年度に向けて個々の成果を総合する予定であった。①日本災害復興学会(鳥取大学,2019.11)、②49th Philosophy of Education Society of Australasia Conference (Hong Kong,2019.12) 、③Asian Link of Philosophy of Education,2020 Winter Seminar (Seoul,Korea,2020.02)。だが、②が香港のデモ、③と3月の研究会が新型コロナウィルスの感染拡大のために中止となり、個々の成果の公表と総合が十分にできないままとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メンバーがそれぞれ分担している個人研究は着実に進んでおり、成果も出ているが、2019年12月以来、香港の政情不安や新型コロナウィルス感染拡大の影響で、成果発表のための学会等が中止となったり、予定していた研究会が開催できなかったりという状態にある。また、論文が掲載される書籍の発行も、新型コロナウィルス感染拡大防止のための休業要請のために、予定されていた5月の刊行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は最終年度であり、国内外における(ミニ)シンポジウムやラウンドテーブル形式の学会発表と書籍の出版による成果公開を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響のため、前半期に予定されていた学会発表等がすべて中止となり、書籍の出版も遅れている。今後は、Zoom等を使用してメンバー間で成果の総合を図りつつ、誌面による成果の公表に努める。また、社会的状況いかんによっては、国内外の学会における研究発表を再来年度にもちこすことも視野に入れて考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年12月および2020年2月・3月に予定していた海外での成果発表と研究会が、香港の政情不安と新型コロナウィルス感染拡大の影響により中止となったため、それに充てるはずだった旅費が次年度使用額として繰り越された。繰り越された金額は、できれば2020年度の成果発表のために投入したいが、新型コロナウィルス感染の状況しだいでは難しいかもしれない。その場合は、海外の学会誌への投稿にかかる翻訳・英文校閲費用に転用することを検討したい。
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