研究課題/領域番号 |
17K04553
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研究機関 | 独立行政法人教職員支援機構(次世代教育推進センター調査企画課) |
研究代表者 |
百合田 真樹人 独立行政法人教職員支援機構(次世代教育推進センター調査企画課), 次世代教育推進センター, 上席フェロー (40467717)
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研究分担者 |
香川 奈緒美 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80622399)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教師教育 / EBPM / アカウンタビリティ |
研究実績の概要 |
国際的な調査研究ディスコースから,教師の専門性形成の議論をめぐる科学的合理性のパラダイム転回を明示した。さらに教育領域の国際的調査研究が示す指標やスタンダード,ベンチマークをめぐるわが国での認識が,国際的な調査研究で示されている文脈から大きく乖離することを確認した。この要因を教育研究の方法論的展開を整理して特定するとともに,科学的合理性に基づく普遍的知見をめぐるわが国の認識の固定化と個別化の問題を指摘し,認識の再構築を図った。その具体的方法の1つとして,エビデンスをめぐる認識を再構築する必要性を確認し,エビデンスを構成する重要な要素に「対話性保証の機能」と「反証可能性」の存在を示し,対話性を保証するエビデンスの具体的事例を提示するとともに,エビデンスを対話ツールとして用いた下記にあげる教師教育(および教員養成)の教材を展開した。 (1)Yurita, M., Kagawa, N. & Oda, I. (2019). 「学校教育の組織における社会的・文化的に形成された性に基づく格差とその課題」『対話のためのエビデンス』. National Institute for School Teachers and Staff Development (NITS). http://www.nits.go.jp/ (2)Yurita, M. (2019). 「教員志願者減少の時代を前に:対話のためのエビデンス」『優れた教員の量的確保に向けたわが国の課題と諸外国における施策と 根拠』. NITS.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画にある実地調査の結果を踏まえた文献調査を通して,わが国における教育行政や教育実践,さらに教育研究のそれぞれが前提とする認識課題の特定に至っている。特定した課題認識のパラダイムとその影響については,すでに学会やシンポジウム等を通して共有と意見交換に努めており,昨年度末に設定した知見の共有についても目標を達成しており,当初計画よりも早く,この認識課題が教員の専門性形成をめぐる国内的課題認識や研究が示す実証的知見に与える影響を実証的に確認する段階に到達している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度より,国外研究機関への2年間の異動(転出)のため,本研究は2年間の猶予期間を申請し,平成33年度より再開する予定。なお,転出先機関では教師教育領域の専門的調査研究を担うため,継続的に情報収集と知見の獲得を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した国外調査を所属機関の業務上の渡航と組み合わせて実施したため,当該年度に予定していた旅費を抑えることが可能になった。この繰越し額については(国外駐在のための科研中断・延期後に)継続する研究において国外の研究者との連携と情報のアップデートに充てる。
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