研究課題
基盤研究(C)
本研究では、近年の教育学におけるメディア論をもとに、国分一太郎における「現実探求としての生活綴方」理論の形成から批判までの変化を考察した。北方性教育運動に関わるなかで国分は言語と生活を関係づける生活綴方理論を形成するが、1936年以降生活綴方を批判し文章表現技術指導のみに限定するようになる。さらに、国分の理論の変化には「言語と生活」の関係のみならず「子どもと教師」の関係の変化も含まれている。
教育学
本研究の意義は、近年の教育学におけるメディア論から国分一太郎の生活綴方の理論的変化を考察し、「現実探求としての生活綴方」を明らかにした点にある。また、国分の生活綴方に限られたものではあるが、断片的に、個人の動向等を中心に論じられてきた北方性教育運動を統一的、理論的に考察することができた点にある。さらに新教育と関係づけることによって、限られた範囲で論じられてきた生活綴方を20世紀以降の哲学や教育思想との関係で捉えることを可能にし、現代的な意義をもったものとして論じることを可能にした点にある。