研究課題/領域番号 |
17K04567
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
赤星 晋作 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80175778)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教職基準 / 全国教職専門職基準委員会(NBPTS) / 教師の資質能力の向上 / 教員の養成・採用・研修 / 教員免許制度 |
研究実績の概要 |
アメリカ(the US)においては、1980年代半ば『危機に立つ国家(A Nation at Risk)で深刻な学力低下が報告され、それらの問題解決を図るために本格的な教師教育の改革が展開される。 こうした中で、教育と経済に関するカーネギー・フォーラムの「専門職としての教職に関する専門委員会」(Task Force on Teaching as a Profession)による報告書『備えある国家―21世紀の教師』(A Nation Prepared: Teachers for the 21st Century. 1986)が提出され、その中に「全国教職専門職基準委員会」(National Board for Professional Teaching Standards=NBPTS)の設立が提案される。 「全国教職専門職基準委員会」(NBPTS)は1987年に設立された。そして、1989年に『教師が知らなければならない、また出来なければならないこと』を刊行し、その中で「教職に対する5つの中核提言」(Five Core Propositions for Teaching)を提示した。5つの提言は以下の通りである。「提言1:教師は、生徒と彼らの学習に専念する」「提言2:教師は、教える教科とその教科の生徒への教え方を知っている」「提言3:教師は、生徒の学習を管理し、点検する責任を持っている」「提言4:教師は、自分の実践を体系的に考察し、また経験から学ぶ」「提言5:教師は、学習共同体のメンバーである」 この「5つの提言」は、教職の専門職としてのビジョンであり、熟達した(accomplished)教師を特徴付ける知識、技能、資質、信念、責務等の枠組みである。そして、NBPTSをはじめとして幾つかの教職関連団体が「教職専門職基準」を策定していく。 これらの「教職スタンダード」は教職の専門的力量のビジョン、方向性、教師としての専門性の基本的な枠組みであり、一連の教師教育に影響を与えていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関連する文献・資料を収集分析し、「全国教職専門職基準委員会」(NBPTS)を中心に、教職専門職基準の策定について、その歴史的背景を探ることが出来た。そしてそれは、各州の「教職スタンダード」(Teaching Standards)を策定する際参考とされ、教員養成プログラム、採用、研修、免許制度等、州の一連の教師教育の指針となっていることが分かった。ただ手術入院したため、体調を考慮して、当初の計画であったアメリカ・フィラデルフィア市のフィールド・ワークを実施することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の文献・資料を分析して得られた知見をもとに、不明な点を明らかにする。そして、「全国教職専門職基準委員会」(NBPTS)の教職基準を中心にその内容と運用、課題等について詳細かつ具体的に探って行きたい。その際、昨年度はできなかったが、平成30年度はアメリカ(フィラデルフィア学区)に10日間ほど滞在してフィールド・ワークを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、手術入院しその後職場には復帰したが、体調を考慮してアメリカでのフィールドワークを断念した。その結果、海外旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。 平成30年度は体調も回復したことから、アメリカ(フィラデルフィ学区)へ調査研究のために当初計画より長期間滞在し、フィールドワークを実施する予定である。
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