研究課題/領域番号 |
17K04567
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
赤星 晋作 広島市立大学, 国際学部, 名誉教授 (80175778)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教職基準 / 教員育成指標 / 教師の資質能力の向上 |
研究実績の概要 |
今年度は、アメリカの「州間教員評価支援協会」(Interstate Teacher Assessment and Support Consortium = InTASC)による「モデル・コア教職スタンダード─州対話のためのリソース」(Model Core Teaching Standards: A Resource for State Dialogue)の調査分析をしてきた。 このスタンダードでは、まず次のような10の基準を提示している。①基準1:学習者の発達、②基準2:学習の違い、③基準3:学習環境、④基準4:内容の知識、⑤基準5:内容の応用、⑥基準6:評価、⑦基準7:教育計画、⑧基準8:教育戦略、⑨基準9:専門職としての学習と倫理的実践、⑩基準10:リーダーシップと協働。そして、特徴的な点として、それぞれの基準に具体的な「パーフォーマンス」、そのための「必須の知識」、「重要な心構え(姿勢)」(disposition) に分類して説明している点である。 これらの基準は、すべての生徒(K-12)が大学へ入る、あるいは今日の世界の労働市場に入ることを準備するという目的を達成することを保証するために、「教師が知っておくべきこと」と「教師がすることができること」のアウトラインである。そしてこれは、すべての教科領域と学年に及ぶ、また生徒の学力を向上させるのに必要な、教授実践における共通の原理と基本である、としている。 また、教職基準の機能として以下の3つをあげている。 ①教師が進むもうとする全体像のヴィジョンを示す旗印、スローガン(banner)②達成されなければならないフォーマンスの具体的な(明確な、特定的な)レベル、拠り所(bar)③教師がそのスタンダードを達成するために整備しなければならない「学習機会」の支援
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、「全国教職専門職基準委員会」(National Board for Professional Teaching Standards = NBPTS) による「教職基準」(Teaching Standards)は明らかにし、論文としてまとめた。今年度(令和元年度)は、アメリカの「州間教員評価支援協会」(Interstate Teacher Assessment and Support Consortium = InTASC)による「モデル・コア教職スタンダード─州対話のためのリソース」(Model Core Teaching Standards: A Resource for State Dialogue)の調査分析をしてきた。ただ、さらに調査を進めるために今年度末アメリカでのフィールドワークを考えていたが、新型コロナの問題で不可能になった。その分、文献調査で補うようにしている。これらの「教職基準」は、アメリカの教師教育に大きな影響を与えている。 そして、最初の研究目的にもあげていたとおり、単なるアメリカの調査研究ではなくて、それらを通してわが国の教師教育についての考察していかなければならない。そのためにわが国の「教員育成指標」等の調査、資料収集・分析も時間をかけてやる必要があり、研究期間の1年延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
わが国においても、「教員育成指標」の策定が2016(平成28)年11月に法制化され、各都道府県等で作成されている。そこで、わが国における「教員育成指標」について、「教員育成指標」策定の背景、「教員育成指標」策定の指針を明らかにして、「教員育成指標」の実際として対照的な2つの事例、「横浜市 教員のキャリアステージにおける人材育成指標」「熊本県 教員等の資質向上に関する指標(あるべき姿)を中心にして調査分析していく。 そして、これまでのアメリカにおける「全国教職専門職基準委員会」(National Board for Professional Teaching Standards = NBPTS) による「教職基準」(Teaching Standards)、「州間教員評価支援協会」(Interstate Teacher Assessment and Support Consortium = InTASC)による「モデル・コア教職スタンダード─州対話のためのリソース」(Model Core Teaching Standards: A Resource for State Dialogue)の研究をフィールドワークや文献調査を通して深めていく。それらの成果を踏まえて、わが国における「教員育成指標」について幾つかの示唆を得、「教員育成指標」の策定と課題について考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、アメリカの「州間教員評価支援協会」(InTASC)による「モデル・コア教職スタンダード」の調査をしてきた。 さらに研究を進めるために、今年度(令和元年度)末アメリカでのフィールドワークを考えていたが、父の死去や新型コロナの問題等で不可能になった。来年度可能ならば、アメリカでのフィールドワークを実施したい。もし不可能であるならば、文献調査で補う。 そして、単なるアメリカの調査研究ではなくて、それらを通してわが国の教師教育についても考察していかなければならない。わが国においても、「教員育成指標」の策定が2016年に法制化され、各都道府県等で作成されている。そのためにわが国の「教員育成指標」等の調査、資料収集・分析も時間をかけてやる必要があり、研究期間の1年延長を申請した。 最終年度において、これまでのアメリカの研究成果を踏まえて幾つかの示唆を得、来年度に論文を作成し本研究のまとめとしたい。
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