令和4年度はアメリカでのインタビューや資料収集等のフィールドワークを計画していたが、やはり新型コロナ禍の影響で渡米することは困難でありできなかった。そこで文献資料を中心に、これまでの研究課題の1つであった、州(カリフォルニア州)や学区(メリーランド州モントゴメリー群学区)レベルにおける「教職専門職基準」の具体的な動きを探った。 カリフォルニア州においては、他州同様「全国教職専門職基準委員会」(National Board for Professional Teaching Standards = NBPTS)による「教職基準」(Teaching Standards)をモデルとして、1997年、「カリフォルニア教職専門職基準」(California Standards for the Teaching Profession=CSTP)が策定された。そして2009年に改正され、CSTP2009では6つのスタンダードを掲げ、各スタンダードにはその内容の説明とそれを構成する4~7の要素が提示されている。そしてそれは、教員養成段階も含め現職教員の評価や職能成長に役立てられている。 メリーランド州モントゴメリー群学区においては、NBPTS基準(5つの中核提言)を「モントゴメリー群学区教員パフォーマンス・スタンダード」(Montgomery County Public School Teacher Performance Standards)に適用している。このスタンダードは、6つのスタンダードから構成され、それぞれに具体的なパフォーマンスと観察可能な教授行動の例が示されている。このように、これは学区内の教員の教員評価や職能開発等の基準となっている。一方で、教員の継続的な職能成長の支援を目的とするだけではなく、一部の教員の排除も含む厳格な基準としても利用されている。
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