研究課題/領域番号 |
17K04568
|
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
卜部 匡司 広島市立大学, 国際学部, 教授 (30452600)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ドイツ / 教育評価 / 中等学校制度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまでドイツに典型的だった三分岐型の中等学校制度が二分岐型へと改革されるなか、ドイツにおいて教育評価制度がどのように再編されようとしているのかについて、制度再編のプロセスを構造的、実証的に解明することである。そして、これらの考察をもとにドイツにおいて教育評価制度の機能がどのように変容しているのかを分析することである。つまり本研究では、ドイツの教育評価制度の再編プロセスを解明したうえで、その制度の機能的変容を明らかにする。 本研究では、平成29年から5年間にわたり、①中等学校制度改革のプロセスを解明し、②教育評価制度の再編過程を解明し、③教育評価に関する理論モデルを検討し、④教育評価制度の再編に伴う機能分析を行う。これら4つの目標を達成するため、①文献資料(中等学校制度改革や教育評価制度再編に関連する政策資料や関連文献など)を収集し、②現地調査(ドイツ諸州の教育省、大学、学校などへの訪問調査など)を実施し、それらの情報に基づいて、③機能分析(理論的考察)を行う計画である。 令和4年度は、本研究の最終年度となる予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響による渡航制限が完全に解除されなかったことに加えて、昨年度に引き続き国際学会がオンラインでの開催となったため、現地での研究討議を実施するのが依然として厳しい状況であった。今年度はバンベルク大学とのオンラインによる研究討議をもとに機能分析を進めたが、研究の総括にまだ時間を要することから、さらに本研究を次年度に向けて1年間延長することにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終年度に該当する令和4年度は、新型コロナウィルス感染症の影響により、当初の計画通りに現地調査を十分に行うことができなかった。ただし、オンラインによる研究討議を定期的にでも進めることができたため、あと少し研究討議を重ねれば、学会発表や投稿論文として本研究を総括できるという見通しが立った。以上のことから「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、中等学校制度の再編に伴う教育評価の制度的変容について、実態解明をめぐり不十分な点を補完し、改革の全体像の把握に努める。そして、引き続き、オンラインでの研究討議を重ね、研究を総括する。その成果を国内外の学会で発表し、論文投稿に努める。なお、新型コロナウィルス感染症の感染防止措置等による出入国制限が完全に解除されることから、令和5年度はドイツや欧州をはじめ海外での学会発表が実施できる見込みである。引き続き世界の状況を注視しながら、機会を窺いつつ国内外の学会や研究会に参加するなど、積極的に研究交流や成果発表を行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じたのは、新型コロナウィルス感染症の影響により研究討議や成果発表がオンラインでの実施となったことで、予算のうち特に旅費が計画通りに執行できなかったからである。まず、国内外の学会がオンラインでの開催となり、これらの学会へ参加するための旅費が計画通りに執行できなかった。次に、ドイツをはじめ欧州域内との研究討議もオンラインで実施されたため、現地への渡航を延期せざるをえなかった。したがって、これから出入国制限が撤廃されることに鑑み、現地での研究討議ならびに研究を総括するための成果発表を目的とした学会への参加旅費として、これらの予算の執行を計画している。
|