これまで個人の側,社会の側という二分法にもとづきコンピテンシー概念の再検討を行ってきたが,2019年度から継続してきたM. ボルトンのHow to Resistの翻訳作業を通じて,パーソナルとパブリック(≠ソーシャル)を結節する手法としてのコミュニティ・オーガナイジングに注目するに至り,自己利益を公益に結び付けることの必要性を見出すに至った。このことは,2019年度までの調査において,Account3では,社会的孤立の要因を精神的・身体的健康,安全,住宅,家族,コミュニティ,文化,環境などに分析して,それらを議会,Social Hausing,若者支援組織などと連携し,支援資源を組み合わせて支援する取り組みとして,また,West Silvertown Community Foundationでは,地域の貧困の問題,特に若者の貧困の問題に教育を含めてコミュニティ全体の開発として取り組んでいることに繋がることでもある。これらは,貧困や社会的孤立といったきわめてパーソナルな問題がソーシャル(社会的)な問題であることを明らかにしただけでなく,これらがパブリック(公共的)な問題として組立て直さなければならないことを示したといえる。つまり,雑多な人々の集合としての社会(ソーシャル)が生み出す問題としてではなく,人々に共通する公共的(パブリックな)な問題として組立て直されるということにほかならないことを明らかにした。
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