研究課題/領域番号 |
17K04582
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
鞍馬 裕美 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (50461794)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 米国 / 教員 / 教員能力試験 |
研究実績の概要 |
本研究は、米国で導入・実施されている教員能力試験、すなわち教員養成段階の学生に対する教員能力試験(養成段階での入り口管理・質保証)と、優秀教員資格証の取得希望教員に対する教員能力試験(現職段階での出口管理・質保証)、以上の実態及び効果を解明し、日本の改革への示唆の提示を試みるものにあたる。そのため、具体的には次のような研究目的を設定している。 Ⅰ:教員を志す学生の「入り口管理」政策としての教員能力試験の実態および効果の解明 Ⅱ:「教員の専門性・優秀性」を証明する一方策としての教員能力試験の実態および効果の解明 Ⅲ:行政主導/民間主導/専門職団体主導の教員能力試験の比較検討 1年目となる平成29年度は、特に<課題Ⅰ>の解明に取り組んだ。1980年代以降、米国で開発・導入された教員養成段階の教員能力試験は、①州が独自に開発し、その試験の合格を前提とする州、②民間の機関が開発した試験(例えば、Educational Testing Serviceが開発したプラクシスシリーズと呼ばれる試験)を採用し、その試験の合格を前提とする州、以上に大別できる。全州的情報を入手した上で、①のタイプを採用している州について、その実数、州(行政)が試験開発に至った経緯、導入プロセス、試験内容、試験の結果と活用方法、以上の観点からの傾向把握を試みた。同様に②の民間試験を採用している州に関しても、実数、民間試験採用の経緯、導入プロセス、試験内容、試験結果と活用方法等の傾向把握に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目となる平成29年度は、主に研究課題Ⅰの解明に取り組んだ。 教員養成の入り口段階に実施される教員能力試験の全州的な動向を把握するとともに、2つに大別される試験の実施形態に応じて、それぞれの事例選定にも努めた。また、海外出張を通じて事例研究の候補となる州および大学との交渉も済ませており、2年目以降の研究につなげる準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる平成30年度は、主に<課題Ⅱ>「教員の優秀性・専門性」を証明する一方策としての教員能力試験の実態および効果の解明に取り組む。 米国では優秀な教員の資格証明過程(NBC取得過程)においても、教科知識等を問う教員能力試験が実施されている。この能力試験は現職教員等で構成された専門職団体であるNBPTSが独自に開発した試験にあたる。この現状を踏まえて、まず、NBCの取得過程で教員能力試験が開発・導入された経緯等を、文献研究及びNBPTS関係者等へのインタビュー調査から明らかにする。次に、NBC取得過程における実際の教員能力試験の傾向、問題作成者の傾向、合格率等について、NBPTSの内部資料、一般の研究資料、関係者へのインタビュー調査などから明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該課題研究に係る海外出張が平成30年2月下旬となり、平成29年分の予算執行に伴う学内での精算期限には間に合わなかったことによる。平成30年5月にはすでに精算を受けており、実質、平成30年度の予算として繰り越されているものではない。
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