研究課題
本研究は、海外に繋がる子ども達がドラマ活動を通して、日本語力などリテラシーの涵養とともに、心理的な不安を克服し人間関係を築く力の育成を図ることを目的とする。本年度は、放課後補習教室において、学齢、母語、文化の異なる子ども達に対し、定期的にシアターゲームを実施し、ことばを介在させないゲーム、一部ことばを使用するゲーム、ことばの学習に焦点をあてたゲームを行い、子ども達の参加状況の観察を行った。また補習教室において、言語使用環境や生活環境に関する聞き取り調査やDLAを用いた日本語力の調査も行った。また英国から招聘したドラマワークショップのファシリテーターと一緒に、小学校の中学年、高学年の日本人児童および外国人児童の混合クラスを対象にしたワークショップ活動を行った。主として身体的な表現活動が主であったが、話し合いを要する活動も盛り込み、それらの実施において海外に繋がる子ども達が日本人の子ども達とのやりとりをどのように行い活動に参加しているのかを観察した。と同時に、地域で海外に繋がる子ども達を指導している先生たちや、ボランティア指導員を対象とした指導者のためのドラマワークショップ体験講座を開催した。さらに放課後活動として、高校進学準備クラスで学ぶ海外に繋がる子ども達と日本人学生、留学生、日本人ボランティアたちによるドラマワークショップ合宿を行い、作品を仕上げる段階までの子ども達と成人、子ども達どうしのやりとりの観察を行った。
3: やや遅れている
予定していた学校での授業参観や活動の試行が、協同を予定していた教員の複数名異動によって実現できなくなったため。当初の予定にはなかったが、海外に繋がる子ども達が急増している地域の教育委員会から放課後日本語補習教室の運営支援の要請があったため、その場にドラマワークショップ活動を導入することを試みた。しかし、その準備と協力者の組織づくりに時間がかかり、実践はできたがプログラムの作成までには至らなかった。
2017年度に実施したシアターゲーム活動や、授業内ワークショップ活動、指導者向けワークショップ活動の記録整理と分析を行う。また保護者と教員に向けて実施中の質問紙調査の結果をまとめ、追加確認が必要な教員、保護者に対する聞き取りを行う。2018年度はワークショップ活動実施校における教員や日本語ボランティア指導者を対象として、言語教育の授業において導入できる活動案を作成する予定である。そのため、新たに国語教育と英語教育の専門家の協力を仰ぐ。
次年度には、小学校、中学校、高等学校で授業参観や聞き取り調査、ワークショップを行う際の代表者交通費と、専門家を招聘する際の交通費、謝費などの経費を予定している。
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朝日大学一般教育紀要
巻: 42 ページ: 51-64