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2017 年度 実施状況報告書

デューイの反省的思考に根ざした道徳教育理論の現代的意義

研究課題

研究課題/領域番号 17K04586
研究機関椙山女学園大学

研究代表者

早川 操  椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (50183562)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード反省的道徳 / 道徳的関心 / 道徳的熟慮 / 道徳的判断 / 道徳的自己形成 / 行動的な総合的知性としての道徳 / 社会的関心の拡張
研究実績の概要

本研究の目的は、アメリカの教育学者ジョン・デューイの「反省的思考に根ざした道徳教育理論」(以下、「反省的道徳(reflective morality)」教育理論と呼ぶ)の特徴を考察することにより、彼が提案した反省的思考や問題解決を軸にした道徳教育理論や教育実践が、わが国の現代教育改革における新たな道徳教育にどのような示唆を与えてくれるのかを解明することである。
本研究は、道徳的思考力、道徳的共感や協働、道徳的判断力や道徳的課題解決能力の教育を提案するデューイの「反省的道徳」教育理論の特徴と可能性を検討することにより、21世紀のわが国における「反省的協働的道徳教育理論」の構築をめざす。
初年度の研究計画の中心となるのはデューイの「反省的道徳」教育理論の特徴についての分析と考察であり、9月には早稲田大学で開催された日本デューイ学会第61回研究大会において本研究課題に関する個人研究発表を行なった。発表では「デューイの反省的道徳論の現代的意義」というテーマで、慣習的道徳から反省的道徳への変遷、感性的知的行動的経験としての反省的道徳の特徴、美的経験としての反省的道徳、道徳的判断における総合的な理念としての原理の役割、好み・選択・関心と道徳的自己、道徳的関心づくりと主体的自己形成の関連性、社会的関心づくりとしての道徳教育などの考察を中心に報告を行った。
学会発表後には同学会紀要に投稿し、査読審査の結果、同紀要第59号に掲載可となった。次年度は反省的道徳論の検討に基づいて、現代道徳理論や実践の研究考察に取組む予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定計画していた学会発表を行うことができ、発表に基づいた研究論文が学会誌に掲載されることになったため。

今後の研究の推進方策

二年目と三年目の研究計画は、デューイの反省的道徳教育理論の継承の系譜をたどることで、プラグマティックで実験主義的な道徳教育理論の特徴を比較考察する。反省的道徳教育理論の継承・発展として第一に考えられるのはN.ノディングズの「ケアリングの道徳教育理論」であり、共感・対話・協働の基本的原理としてのケアリングの考察と、ケアの広がりとしての道徳的社会的関心の領域・範囲(広がり)について分析する。
第二に、ケアリング教育理論と対比されるL.コールバーグの「道徳性発達理論」を比較検討することで、道徳性の発達や成長についての見解の相違を比較する。
第三に、道徳的人間関係や共同体構築のための教育を提唱するD.ショーンの「反省的教授学習理論」とA.トムの「道徳的クラフト」理論を取り上げて、教師による道徳的関係構築のためのスキル習得についての実践的検討を行う。
これらは2、3年目の「応用的研究課題」であり、現代における「反省的道徳」教育理論パラダイムの意義解明に取り組む。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] デューイの実験的探究と二一世紀の教育2017

    • 著者名/発表者名
      早川操
    • 雑誌名

      日本デューイ学会紀要

      巻: 58 ページ: 139~147

    • 査読あり
  • [学会発表] デューイの「反省的道徳」論の現代的意義2017

    • 著者名/発表者名
      早川操
    • 学会等名
      日本デューイ学会第61回研究大会
  • [図書] プラグマティズムを学ぶ人のために2017

    • 著者名/発表者名
      井上 弘貴、伊藤 邦武、冲永 宜司、加賀 裕郎、宮崎 宏志、小口 裕史、新 茂之、早川 操、松下 晴彦、柳沼 亮太、江川 晃、浜野 研三、笠松 幸一、苫野 一徳、藤井 千春、高頭 直樹
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      世界思想社
    • ISBN
      978-4-7907-1698-3

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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