最終年度として、本研究を通じて開発と取りまとめを行ってきたパターン・ランゲージの完成度を高める活動を中心に行った。その活動を通じて、大きく3つの成果を得ることができた。 第一に、産学連携PBLの支援という観点からのパターン・ランゲージの開発活動を通じて、参加学生のユーザー・エクスペリエンスを記述できること、ランゲージとして記述することによりその経験が参加者の間で共有されること、さらには年度を超えて経験が継承できる可能性が示された。この点については、ヒューマンインタフェース学会のサイバーコロキウムで発表を行った。なお、サイバーコロキウムとは、コロナ禍により静岡大学での現地開催予定のシンポジウムの代替として開催されたものとなる。第二にパターン・ランゲージの開発活動そのものを振り返ることにより、産学連携PBLを支援するコミュニティが発展している様子をとらえることができる可能性を示した。この点については、第27回大学教育研究フォーラムにて発表を行った。第三に以上の開発と検討の総括として、開発したパターン・ランゲージの冊子の印刷を行った。これについては、関連の研究者および実践者に対して、本研究の成果として公開や配布を行った。 また、パターン・ランゲージに加えて、産学連携PBLに参加する学生が、課題解決に向けた検討状況を把握するための方法としてエレベーターピッチの活用を授業内に正式に組み込み、実際の授業運営として具体化することができた。 研究内容の文書化と公開をより深く行うことを目的に、補助事業期間を1年間延長していただき、産学連携PBLに参加する学生のエクスペリエンスをいかにデザインするかという観点で、参加学生の自律性を主眼においた総括を行った。
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