研究課題/領域番号 |
17K04590
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
岩田 考 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (60441101)
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研究分担者 |
布村 育子 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (70438901)
冨士原 雅弘 日本大学, 国際関係学部, 准教授 (30339238)
太田 拓紀 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30555298)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本教職員組合 / 教育研究全国集会(大会) / 教育研究全国大会(集会) / 民間教育団体 / 知識人 / 戦後教育学 |
研究実績の概要 |
2年度目にあたる平成 30 年度は、以下のような本格的な調査とそこで入手した史料等の整理・分析を行った。初年度に引き続いて、(1)日教組及び教育図書館の史料収集、(2)基本文献 および古書史料の収集を進め、4人が分担して整理し、分析を行った。同時に、(3)6回の研究会を定期的に開催して各自の分析結果を検討し、成果の共有化を図った。(4)その成果を、日本教育学会および日本大学教育学会において発表した。 (1)日教組及び教育図書館での史料収集とその整理:教育図書館が所蔵する 1950 年代の全国教研及び国民教育研究所関連の史料を閲覧するとともに、日教組 が所蔵する機関会議や教文部の史料を閲覧し、必要なものを複写し、各自で整理・分析を行った。 (2)本研究課題に関連する基本文献および古書史料を、文献・史料リストを作りながら 書店および古書店を通じて入手した。また、一部の史料は、教育図書館、大学図書館、国会図書館等で閲覧・入手した。特に、教育学者と民間教育運動との関係 については、教職員組合が直接関係しない領域での関係も重要になるため、人物の伝記的な書籍やそれに言及した雑誌記事などに目を配りつつ、体系的に閲覧・ 入手を進め、各自で整理・分析を行った。 (3)定期的な研究会:定期的に研究会を開催した(計6回)。研究打ち合わせのほか、各自の分析作業の進捗状況の報告、ゲスト・スピーカー による専門的知識の提供をもとにした討議を行った。各自の分析作業の成果報告を行うとともに、相互の成果を組み合わせて 三つのアクター(教育学者を含む知識人・民間教育運動・教職員組合)の間の関係を明らかにしていくための討議を行った。 (4)その成果の一部を、日本教育学会(9月・於宮城教育大学)および日本大学教育学会(12月・於日本大学)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成 30年度は本格的な調査および分析を行い、概ね当初の研究計画どおり進めることができた。 ただし実施を予定していた「単組所蔵の史料の収集とその整理」については、資料の保管状況が予想以上に悪く、選定作業や複写作業などを十分に行うことができなかった。当初調査を予定していた2単組以外で、研究計画時に候補として挙がっていた複数の単組の資料保管状況を再度調査して、調査対象とする単組の変更等の可能性を検討したが、対象とする1950年代の資料が十分に保存されていいないなど、研究計画の見直しが必要となっている。最終年度の令和元年度内に終了するよう、研究計画を見直す。 他方で、最終年度に予定していた学会発表を本年度に実施し、研究成果全体の取りまとめに向けて大きく前進した。
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今後の研究の推進方策 |
3年度目にあたる令和元年度は、研究成果とりまとめの時期となる。日教組及び教育図書館での史料調査は追加調査として補足的に行う予定だが、主として分析作業と成果のとりまとめに向けた各自の作業及び、各自の成果を組み合わせたトータルな構造の析出が主要な課題となる。 本研究の最終課題である「戦後教育学がその輪郭を形成した時期である1950 年代において、教育学者を含む知識人、民間教育運動と教職員組合との三者が、どのような関係構造 のもとで教育運動言説の形成に関与したのかを、社会史的な文脈に位置づけ明らかにする」という課題を達成するため、定期的な研究会を4ヶ月に1度程度を開催し、夏季および冬季に研究合宿を行う。研究会および合宿において討議を行い、成果のとりまとめの方向を明確にしていく。最終的には、論文化して研究成果を公表する。 なお、「単組所蔵の史料の収集とその整理」については、当初予定していた単組を対象に、研究課題を明らかにする上で必要不可欠な部分に限定して実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初調査を予定していた2単組以外で、研究計画時に候補として挙がっていた複数の単組の資料保管状況を再度調査して、調査対象とする単組の変更等の可能性を検討したが、対象とする1950年代の資料が十分に保存されていいないなど適当な単組を見出すことができず、本格的な調査が実施できなかったため。「単組所蔵の史料の収集とその整理」については、当初予定していた単組を対象に、研究課題を明らかにする上で、必要不可欠となる部分に限定して実施する予定である。したがって、その際の調査費用にあてる。 また、日教組及び教育図書館の史料の分析にあたり、その精度を高めるため、一部の資料のデジタル化を行う予定であり、その費用にもあてる。
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