研究課題/領域番号 |
17K04592
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
赤沢 真世 大阪成蹊大学, 教育学部, 准教授 (60508430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小学校外国語 / 文字指導 / 評価 / フォニックス / 教育方法学 |
研究実績の概要 |
研究の目的の二つの柱(1)入門期英語教育における子どもの言語経験の蓄積・記録に基づく評価の理論的研究、および(2)小学校でのリサーチによる文字指導における評価の実態把握と評価方法の提案、について以下のように進めた。 (1)においては、M.ClayによるReading Recoveryやその理論に立つ実践において、今年度はESL(第二言語習得)にとくに焦点を当てて検討を進めた。アメリカのReading Recoveryではヒスパニック系の子ども等を対象に、子どもの実態を丁寧に記録し、評価を行う理論と方法について文献研究を中心に進めた。また、日本の特別支援教育での読み書きのつまずきを把握する検査や支援について検討を進めた。さらにReading Recoveryの実践研究会に参加し(2020年1月)、今年度はESLを担当する教師の実践について資料収集および意見交換を行った。なお、この研究成果の一部を大阪成蹊大学研究紀要等で発信した。 (2)については、新教科書の入手可能な情報における読み書き指導の系統性、具体的な指導についての検討を行った。また、今年度も引き続き研究協力をしている小学校において、実際のつまずきについて参与観察における児童の実態の把握を行ったり、担当教員への簡単なインタビューを通して先生方とルーブリックを実験的に作成しながら検討を行ったりし、子どもの実態を踏まえた評価の視点および方法を整理した。その成果は、指導書への記載や、各地の教員研修において発信した。また、文字指導の実態把握について、当初は母数の大きなアンケート調査を検討していたが、本来求められる子どもの実態に応じた指導のあり方をさぐるには質的な調査がより求められると考え、調査方法の変更をしたい。来年度は文字指導に焦点を当てた教師への質的なインタビューを行い、それを踏まえた評価の視点と方法論を整理する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的の(1)について、おおむね順調にすすんでいる。しかしながら、(2)については、教科書分析など、文献研究は順調に進んだものの、本務校の業務の関係上、学校実践現場における参与観察が多く行えなかったことが大きい。また、文字指導の調査については方法の吟味(学校現場での文字学習の実態について大規模な調査等の受け入れが難しい)の問題もあった。2020年度は新学習指導要領実施の初年度となるため、引き続き実態把握やルーブリック案の検討を行い、成果をまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的(1)については、おおむね順調に進んでおり、今後はアメリカ等のReading Recovery,Whole Languageの理論のみでなく、今回広がったアメリカの教師たちとのネットワークを通じて学んで実践的知見を得ていきたい。 研究目的(2)については、研究協力校を絞りつつ、質的な研究を重視して実態把握するとともに、評価方法を実践の場で提案し、吟味したものを成果として発信したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に海外渡航ができなかったこと(とそれにかかわる資料収集)、および日本における小学校参与観察ができなかったことによる研究の遅れが響いている。2019年度については、2018年度の研究の遅れ分に加えて1年分の研究資金としてほぼ計画通りに執行できている。次年度については、今年度計画する海外での視察、資料集作成を行い、計画どおりに執行できる予定である。
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