研究課題/領域番号 |
17K04599
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
萩原 康仁 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (30373187)
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研究分担者 |
松原 憲治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (10549372)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教育学 / 学力論 / 学級規模 |
研究実績の概要 |
本研究は、国際的な学力調査であるTIMSSデータの二次分析によって、1.日本の理科の教育到達度や児童生徒の態度に学級や学校及び家庭の環境はどのような影響を与えているのか、及び、2.どのような理科の問題が解きにくいのか、について答えようとするものである。 本年度では、1点目の課題で前年度に得られた知見について、カリキュラムの被覆状況(履修状況)の要因を加えて追加検討した。具体的には、TIMSS2015の日本の公開データを用いて、学級規模の小学校第4学年理科到達度への効果を、家庭の学習資源の多寡による多母集団モデルによって検討した。その際には、各学校の重み因子の変数及び各学校が単学級かのダミー変数を操作変数として用いた。このことによって、学級規模にも学力にも影響を与える共変量がモデルから欠落した場合に、学級規模と学力の誤差項との間に相関が生じるという内生性の問題に対処しようとした。 従属変数となる個々の児童の到達度について、理科・数学の教科別及び履修状況別に4因子に分けた確認的な多次元項目反応モデルを構成し、理科部分について履修状況別に推算値として算出したものを用いた。 分析の際は、学校IDのクラスタリングと各児童の標本の重み、多母集団、及び推算値を考慮する方法で推定した。その結果、操作変数が弱相関でないことが確認され、モデルの適合度もおおむね良かった。 分析の結果、履修している項目群の到達度を従属変数とした場合は、家庭の学習資源の多寡による学級規模増の効果の群間差は見られなかった。一方で、履修していない項目群の場合は、前年度の分析と同様に、家庭の学習資源が少ない児童について負に有意であった。この結果は、当該の操作変数を通じた学級規模増の小学校第4学年理科到達度への平均的な効果が、特にカリキュラムの被覆がない場合、家庭の学習資源が少ない児童に対して負であることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度の「研究実績の概要」で示した結果から、学級規模の理科の学力への影響を検討する際に、カリキュラムの観点を加えて追加分析する必要性があると判断し、本年度においても、主に1点目の課題について研究を実施した。したがって、特に2点目の課題については、変数の選択、モデル化、及びデータの分析に留まっており、分析結果の整理の途中であるため、進捗が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2点目の課題について、研究成果を発表する計画である。また、研究全体について、結果を整理する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」に示したとおり、進捗が遅れているため。 したがって、「今後の研究の推進方策」に係る内容を実施するための使用計画とする。
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