(1)高等教育政策の動向の検討。1980年代以降の大学政策は、個別大学の組織改革を可能にする大学設置基準改正を軸に展開し、1990年代後半以降、資金配分と評価による統制を強めた。国立大学法人化は大学経営を行政的に統制するしくみの強化であり、政治介入をたやすくすることに帰結した。 (2)大学設置基準に関する論点整理、研究課題の提示。1960年代以降の高等教育の展開は、各専門分野の学問と青年期以降の発達=教育権を保障する高等教育制度の創造を架橋するという課題を浮上させた。しかし、上記政策による対応は設置基準の意義を不透明にし、大学改革の実践と大学設置基準に関する研究の架橋を妨げてきた。
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