最終年度(2019年度)に実施する予定であった米国調査が、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い実施不能となったことから、研究実施期間を1年間延長し、2020年度内に米国内でのインタビュー調査等を行うことを当初計画としていた。しかしながら、2020年度においても、渡航の目処が立たなかったためメールを用いた質問や、オンラインでのインタビューなどを実施することで代替した。 この結果、前年度までの調査内容と上記の代替的調査を完遂することで、下記のような研究成果につなげることができた。第一に、アメリカの「人事直結型教員評価(high stakes teacher evaluation)」をテスト・ガバナンスの観点から検討し、学力テストのハイステイクス性を高める要素として教員評価が活用されてきたことを明らかにした。また、オバマ政権からトランプ政権への移行に伴い、連邦法の規律密度が低下するなかで、各州の教員評価法制が如何に変容しているのかを分析した。この研究成果に関しては、2020年度内に共著書として発行することができた。また第二に、アメリカの人事直結型教員評価が、漸進的に日本においても導入されていることに着目し、他の教育政策領域からみた、教員評価制度の政策移入(policy transfer)の特徴を、対象モデル、移入する主体、実施手法の違いから検討した。この内容については海外ジャーナルに投稿し、次年度中に成果を公表する予定である。
|