研究課題/領域番号 |
17K04607
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝野 正章 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (10285512)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 校長 / 学校経営 / 日本的特徴 / ルーティン / ツール |
研究実績の概要 |
初年度は、学校経営におけるルーティンやツールにはどのようなものがあり、それらを校長はどのように用いており、またどのように意味づけているかを明らかにすることを目的として研究協力校への訪問調査を実施した。 研究協力校は研究計画時に予定した9校から6校に変更して、訪問調査(学校経営関連資料の収集と校長インタビュー)を各校で複数回実施した。その結果、研究代表者のこれまでの研究により、その日本的な特徴が見出されていた教員評価における「評価面談(evaluation meeting)」に加え、校長が自己の学校経営理念や方針を教職員に伝え浸透を図る手段としての「通信」が特に興味深い分析対象として浮上した。現在、校長のリーダーシップ実践を媒介するツールとして、この「通信」が担う機能に注目して、収集したデータの分析を進めている。 校長のリーダーシップの日本的特徴に関する比較文化的視点からの考察を深めることを目的として、国際会議において「評価面談」の機能に関する研究発表を行った。「評価面談」が学校経営の道具的(合理的)機能と情緒的機能の両方を満たす日本的な学校経営ツールであるという発表内容に対し、ポルトガル、スウェーデン、オーストラリア、韓国、中国の研究者から有益なコメント、及び今後の研究の進め方に対する示唆が得られた。これとは別に、国外の研究協力者とe-mailとスカイプにより継続的に研究協議を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究校への訪問調査によるデータの収集と分析については、研究協力校数を変更したが、集約的に実施して、計画どおりに進展している。校長のリーダーシップに関する比較文的考察についても、国外の研究協力者との研究協議が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、研究協力校への訪問調査により文書資料の収集とインタビューを継続して実施しながら、得られたデータの分析に一層注力する。また、研究協力校を対象とした事例研究より得られた知見をベースに質問紙調査を実施する計画である。国外の研究協力者と研究協議を継続しながら、比較文化的考察についても一層の進展を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内の研究協力者(大学院生)と研究協力校への訪問調査(文書資料の収集とインタビュー)を分担して実施する計画であったが、研究協力校を絞ったこともあり、研究代表者のみで実施することができたため、人件費・謝金が未使用となった。次年度は質問紙調査を実施する予定であり、大きな支出が予定されるため、その分に充当する。
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