研究課題/領域番号 |
17K04607
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝野 正章 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (10285512)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 校長 / 学校経営 / 日本的特徴 / ルーティン / ツール |
研究実績の概要 |
研究2年度目にあたる本年度の主な研究実績は東京圏(1都3県)の公立学校学校長を対象に企業経営の理念・手法の理解及び運用等に関する質問紙調査を実施したことである。調査は悉皆で行い、回収数210(回答率34.3%)であった。本研究の出発点にあったねらいは、NPM型学校管理研究で重視されがちな共通性にではなく、表面的には同じような学校経営のためのツールであっても、歴史・文化・制度的な文脈によってそれらが実際に果たしている機能には差異があり、それを見定めることで学校経営の国際比較文化的考察が可能になるというものであった。この考察の基盤となる本調査の本格的な分析は、実施時期が年度末になったため、まだこれからの作業であるが、本研究の最終的なアウトプットである日本の学校経営におけるルーティン、ツールのインベントリー(目録)作成に向けて、大きな進捗が得られた。 一方、質問紙調査と並行して実施する予定であった、研究協力校への訪問調査(文献資料の収集、インタビュー)は、研究代表者が所属する大学学部の附属学校長を兼務することになったために時間的に制約され、3校に1回ずつしか実施できなかった。 研究成果の中間的なアウトプットとして、8月に開催された日英教育学会第27回大会の国際シンポジウム「スタンダード化時代の教育リーダーシップ スタンダードと評価に基づく教育改革を問う」においてパネリストを務め How do teacher evaluation practices affect school leadership?という題目で報告を行った。本シンポジウムに基調報告者として参加したマンチャスター大学のヘレン・ガンター教授と本研究の目的・進捗状況について意見交換を行ってアドバイスを受け、その後も研究交流を継続している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算上の制約のため、質問紙調査を当初の計画より規模を縮小して実施した。また、研究協力校への訪問調査(文献資料の収集、インタビュー)については、研究代表者が所属する大学学部の附属学校長を兼務することになったために時間的な制約を受け、3校に1回ずつしか実施できなかった。しかしながら、研究目的の達成という観点からは深刻な支障はなく、おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今度は東京圏の公立高等学校長を対象に実施した質問紙調査結果の分析を本格的に進めるとともに、研究協力校への訪問調査を継続して実施して、分析・考察を統合的に進める。時間的制約により研究代表者自身による訪問調査が当初計画していたようには進められない部分については、学校経営を研究する大学院生の協力を得て行う。国外の研究者との研究協力も継続して積極的に実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が所属する大学学部の附属学校長を兼務することになったために時間的制約が生じ、予定していた国際学会での発表および研究協議を断念せざるを得ず、さらに国内の研究協力校への訪問調査も予定していた頻度で実施することができなかったため。次年度は予定を繰り合わせて国際学会への参加を行い、あわせて研究協力校への訪問調査については、大学院生の協力を得て実施して研究費を使用する予定である。
|