英米の例からわが国の動向を振り返ったとき、人種・民族・宗教・文化的差異への意識が乏しいままで地域に目を向けている弱みもあるものの、教育において、地域という存在が独自に持つ「力」が強く意識されていることが利点にもなり得る、ということが明瞭に浮かび上がる。すなわち、欧米のようにともすれば克服されるべき対象としての自然ではなく、共存すべき対象としての自然も視野に入れ、交友関係・人間関係、環境・建造物も含めた空間総体(landscape)として地域を捉え、その人格形成への作用(形成力)を利活用すること自体を教育実践の土台と見なすような発想である。こうした点を日本の固有の特質・長所と捉えることができる。
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