研究課題
平成29年度は、保幼小接続を推進するために、造形教育またはそれにつながる幼小接続、小中接続の現状を考察した。学習指導要領の改訂のポイントとなる資質・能力に関わって、非認知能力である造形教育で育まれる力を明確にするべく、幼児教育は公立幼稚園の教育課程を、小中学校においては教科書題材を基に、幼児からつながる造形教育の視点の変化について分析を行った。題材の教育的意味を資質・能力となる手立てととらえた場合に、身体的な発達や、技能の発達、思考力の発達、情緒的発達、社会的行動発達、生活環境、社会環境(学校・園から地域、社会、文化まで)などの項目で各題材数をカウントし、その比較を試みている。こうした造形教育における資質能力において、汎用的な力が非認知的能力であり、学びへ向かう力、人間性と重なっているためである。その結果、身体的発達については幼少期に題材が多く、体作りや身体の分化などに関わる題材が多く、社会環境の社会や文化につながっていく題材は、小学校高学年から中学校にかけて増加していくことが分かった。また、情緒面の発達として自らを見つめる題材は、小学校低学年からゆるやかな形で存在し、中学校に向けてより質を深めて題材数も増えていくことが分かった。このように、造形教育を通しての様々な発達過程・段階の子どもについての資質・能力を教員間で理解していくことが必要であると考えられるという結果を、和歌山大学紀要に掲載することができた。
3: やや遅れている
介護及び所属変更などによって滞りが出ているが、要点を絞って対応できればと考えている。
1年目には小学校・中学校の教科書題材を調査して概観を理解できたが、インタビューについては十分にはできなかった。また、今後は、非認知能力において重要な理論研究の明確化は予定通り継続して行いながら、遅れているインタビューを進めつつ、指導案の収集などを同時に進めていきたい。そして、非認知能力と文科省の提示する資質能力は共通する考えではあるので、その差異についても理解するために教育の動向を見ながら、非認知能力に関わる題材の分析を進めていきたい。
29年度は、所属の変更と介護のために滞りが生じている。そのため、方法を修正し、29年度と30年度は2年単位での計画に変更をしている。具体的には、昨年、滞りのあった学校・園などの教育現場へのインタビューを追加しながら、予定通りの非認知能力についての調査、題材など指導案の収集に努める。そのため、インタビューを行うための訪問旅費、研究文献や資料収集に関わる費用、映像などの記録のため機器などに資金の使用を予定している。
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和歌山大学教育学部紀要-教育科学―
巻: 68集第2巻 ページ: pp.43-50