研究課題/領域番号 |
17K04628
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
林 透 山口大学, 大学教育機構, 准教授 (20582951)
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研究分担者 |
山崎 慎一 桜美林大学, 心理・教育学系, 助教 (10636674)
深野 政之 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (40552758)
斎藤 有吾 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特定助教 (50781423)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カリキュラムマネジメント / 3つのポリシー / アセスメント / 質保証 / ステークホルダー / COC+ / 比較研究 |
研究実績の概要 |
今日の大学教育は、アクティブ・ラーニングの導入に伴い、多様な人々や場面に対応できる対人基礎力や専門知識を活用・工夫しながら課題に対処できる対課題基礎力などの育成が重要となっている。汎用的能力の育成にはカリキュラムベースでの対応が必要であり、2017年度からの3つのポリシーの公表義務化を通して、学修評価方法を盛り込んだカリキュラム・ポリシーのあり方が大きく問われてくる。そこで、3つのポリシー策定状況調査を端緒に、文科省COC+事業でのカリキュラム設計、米国・英国との比較研究などを交えながら、日本の大学におけるカリキュラムマネジメントの現状と課題を明らかにすることに取り組んだ。 (1)3つのポリシー策定及び学修評価方法の状況調査について、平成28年3月に公表された3つのポリシー策定のガイドラインに基づき、各大学ではポリシーの新規策定または見直しの作業を進め、2017年度には公表義務化された。カリキュラム・ポリシーにおいては学修評価方法の記載が求められており、全体的な状況調査のほか、山口大学、新潟大学などの事例調査を行い、カリキュラムマネジメントのあり方について情報収集した。 (2)文部科学省COC+事業における地域人材育成カリキュラム設計及び運営に関する分析について、大学と地域が協働したカリキュラム設計に着目し、授業運営及び成績評価などのあり方を通して、当該カリキュラムマネジメントの実情に関し、高知大学、北九州市立大学などの事例調査を行うとともに、現状と課題の抽出を行った。 (3)日米共同研究を通したカリキュラムマネジメントに関する比較研究について、自身が研究代表者を務めた「日本の大学における組織開発(OD)の担い手に関する実践的研究」(基盤研究C(一般)2014~2016年度)で実施した日米FD比較共同研究の結果を参照しながら、米国におけるカリキュラム研究に関する情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題として掲げている以下の3つの事項について、おおむね順調に研究に着手できている。 1.日本の大学におけるカリキュラムマネジメントの事例研究及び課題抽出 2.米国・英国の大学におけるカリキュラムマネジメントの比較研究 3.日本の大学におけるカリキュラムマネジメントの新たなモデルの提言 特に、初年度においては、2017年度に公表義務化された3つのポリシー策定内容のうち、国立大学法人を中心とした情報収集を行い、学修評価方法を含めたカリキュラム・ポリシーの実質化を調査分析することを通して、カリキュラムマネジメントの事例研究及び課題抽出に着手した。また、カリキュラムマネジメントのあり方を検証する一事例として、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」による地域人材育成カリキュラムを取り上げ、大学教職員やステークホルダーが参画したカリキュラムマネジメントの実情について、学会ラウンドテーブル等を通して事例収集や課題抽出に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度に行った事例研究を基礎に、日本の大学におけるカリキュラムマネジメントの実態に関する各種調査を行うとともに、比較対象として米国・英国の大学における事例研究を行う。特に、米国においては、日米FD比較研究の実績を活かすこととする。 (1)日本の大学におけるカリキュラムマネジメントの実態に関する調査分析について、2017年度に行った事例研究をもとに、日本の大学におけるカリキュラムマネジメントの実態に関する各種調査を設計し、国公私立の大学を対象に実施し、その結果を分析する。 (2)米国・英国の大学におけるカリキュラムマネジメントに関する比較研究について、米国ではICED(The International Consortium for Educational Development)を通した研究発表や共同研究の実績、英国ではSRHE(Society for Research in Higher Education)での研究発表実績を通した研究者交流を活かし、両国の大学におけるカリキュラムマネジメントの事例調査を行い、日本との比較研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度については、研究代表者と研究分担者の役割分担により、経費執行を効率的に行ったため、次年度使用額が生じた。このため、次年度における研究取組の充実を図れるよう、研究代表者と研究分担者が協力して効果的に使用することとしている。
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